著作権移転登録の欠缺を主張できない「背信的悪意者」性が問題となった事例

 

▶平成25年03月28日 東京地方裁判所[平成22(ワ)31759]▶平成25年10月30日知的財産高等裁判所[平成25(ネ)10046]

1 事案に鑑み,まず,争点3について判断する。

(1) 前記前提事実に,証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,被告らは,被告NEPらがMBCAと本件協約を締結する際には,本件展覧会において,本件小道具等をその原作品又は複製物により展示し,また,本件グッズを製造販売することについて,【各展示品の所有者であるMBCAから】同意又は許諾を得たことが認められる。

著作権の移転は,一般承継によるものを除き,登録しなければ,第三者に対抗することができない(著作権法77条)。被告らは,著作権法77条にいう第三者に当たるから,仮に本件小道具等が著作物であって原告がMBCAからその著作権の譲渡を受けたものであるとしても,原告は,移転登録を経ていないため,被告らが背信的悪意者に当たらない限り,譲渡を受けたとする本件小道具等の著作権を被告らに対抗することができない。

(2) そこで,被告らが背信的悪意者に当たるか否かについて検討する。

(略)

以上によれば,被控訴人らが,控訴人に本件小道具等の著作権があることを知りながら,MBCAと共謀してこれを否定したと評価すべき事情も見いだし難いし,被控訴人らが控訴人の著作権の移転登録を妨げたといった事情も何ら窺えないのであって,被控訴人らについて,控訴人の著作権の移転登録の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情があるということはできない。よって,被控訴人らが背信的悪意者に当たるとの控訴人の主張は採用することができない。

[控訴審同旨]

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