設計図書の交付と著作権の移転

 

▶昭和54年6月20日東京地方裁判所[昭和50(ワ)1314]

一般に、建築主は、建築士が建築主との設計請負契約に基づいて作成した設計図書の交付を受けたときは、当該設計請負契約の当然の内容として、当該設計図書に従つて建築物を建築することができるという権能を有するわけであるが、もとより、当然に当該設計図書についての著作権の譲渡を受けたものではないから、当該設計図書に従つて建築物を建築することができるという右権能に付随して、その建築に当つて通常必要となる部数の当該設計図書の写しを交付するよう建築士に対して請求し、あるいは建築士がこれに応じないときは自ら通常必要となる部数の写しを作成することができるとは言いえても、本件のように躯体構造等に一部変更を加えるべく、改めて建築確認申請をするのに必要な設計図書として利用するために当該設計図書を複製することまで本件設計請負契約の当然の内容としてあるいは前記権能に付随して許されると言うことはできない。

【より詳しい情報→】http://www.kls-law.org/