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【検討の過程における利用】著作権法第30条の3の解説です 2/2

 

▶対象となる利用行為

 

本条の対象となる著作物の利用行為としては、次のようなものが考えられます:

〇 漫画のキャラクターの商品化を企画するに際し、著作権者から許諾を得る以前に、会議資料や企画書等にキャラクターを掲載する行為

〇 映像にBGMを入れるに際し、著作権者から許諾を得る以前に、どの楽曲を用いるかを検討するために、実際に映像にあわせて楽曲を録音する行為

〇 権利者不明の著作物に関し、裁定制度を利用するか否かを検討するに際し、会議資料や企画書等に著作物を掲載する行為

 

一方、以下のような著作物の利用行為は本条の対象とならず、原則として著作権者の許諾が必要となるものと解されます:

× 企業内において、業務の参考とするために新聞や書籍、雑誌等の著作物を複製する行為

(注) 公益社団法人日本複製権センターと契約を結んでいる場合には、その契約の範囲内で新聞等を複製することができます。

× あるキャラクターの利用に係る検討を行う過程で、当該キャラクターを利用した試作品を社外の者に幅広く頒布する行為

 

本条では、「著作権者の許諾を得て、又は…裁定を受けて著作物を利用しようとする者」が対象となっていることから、適法に「利用しようとする者」であれば足り、最終的に利用が行われることは要件となっていません。そのため、最終的に著作権者から許諾を得る前提で企画書等に著作物を複製したものの、その後、結局、当該企画が実現しなかった場合であっても本条が適用される(かかる複製は違法ではない)ことになります。

 

本条で、「これらの利用についての検討の過程(当該許諾を得、又は当該裁定を受ける過程を含む。)における利用に供することを目的とする場合には」とかっこ書を設けていますが、これは、検討自体は終了したものの、検討後に行われる利用(例えば、著作権者に許諾を申し出る際に作成される各種プレゼン等資料における著作物の利用)を含めて本条の対象となることを明確にするために設けられたものです。つまり、本条は、「検討過程」における利用のみならず、「(その後の)許諾・裁定取得過程」における利用にも適用があります。

 

本条では、「いずれの方法によるかを問わず、当該著作物を利用することができる」と規定しているため、当該著作物の複製に限らず、すべての利用行為が対象となります。もっとも、利用全般が対象となると言っても、あくまで検討過程(許諾・裁定取得過程を含む。以下同じ)における利用に供するという「目的」に照らして、「必要と認められる限度において」行われることが求められます。

 

「当該著作物の種類及び用途」並びに「当該利用の態様」に照らし、著作権者の利益を不当に害することとなる場合には、そのような検討過程における利用をすることはできません(但書)。

 

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