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ノンフィクション小説中の台詞の著作物性

 

▶平成27年9月30日東京地方裁判所[平成26(ワ)10089]▶平成28年12月26日知的財産高等裁判所[平成27(ネ)10123]

(4) 台詞の著作権の侵害について

ア 被控訴人が,本件各著作物の台詞の著作権が侵害されているとして,別紙対比表4-1及び4-2において主張するのは,以下のとおりである。

① 別紙対比表4-1のエピソード4における本件著作物1の「なんて言って休めばいいの?」という台詞について,本件映画の「なんて言って休んだらいいの?」という台詞による複製権又は翻案権の侵害

② (a)別紙対比表4-1のエピソード6における本件著作物1の「また襲われてもいいの?」という台詞及び(b)別紙対比表4-2のエピソード6における本件著作物2の「また襲われてもいいの?」という台詞について,それぞれ本件映画の「健ちゃんはまた私が襲われてもいいの?」という台詞による複製権又は翻案権の侵害

③ 別紙対比表4-1のエピソード6における本件著作物1の「お前ホントは喜んでたんだろ。スリルがあって気持ちいいとか思ってたんだろ」という台詞について,本件映画の「おまえさあ,その二人組だっけ,犯されているとき,本当は興奮して濡れてたんだろ?また犯されたいって,今もそう思ってるんだろう?」という台詞による複製権又は翻案権の侵害

④ (a)別紙対比表4-1のエピソード6における本件著作物1の「お前みたいな汚れた女とつき合ってやったんだ。感謝しろ!」という台詞及び(b)別紙対比表4-2のエピソード6における本件著作物2の「お前みたいな女と付き合ってやってるんだよ」という台詞について,本件映画の「今までつきあってやっただけでも感謝してほしいね」という台詞による複製権又は翻案権の侵害

⑤ 別紙対比表4-1のエピソード6における本件著作物1の「頼むから,もう俺のことは忘れて,幸せになってくれ。」という台詞について,本件映画の「頼むから,おれのことは忘れて,幸せになって」という台詞による複製権又は翻案権の侵害

⑥ (a)別紙対比表4-1のエピソード7における本件著作物1の「なんでいまさらそんなこと言うのよ!?あんたの言うこと信じられない!!」という台詞及び(b)別紙対比表4-2のエピソード7における本件著作物2の「なんで今さらそんなこと言うの?あんたの言うこと,信じられない!」という台詞について,本件映画の「どうして今頃になってそんなことを打ち明けるの?お母さん,あなたの神経が信じられない!」という台詞による複製権又は翻案権の侵害

⑦ 別紙対比表4-1のエピソード7における本件著作物1の「お前は強い子だから,そんなこと(事件のこと)を気にするような子じゃないでしょ」という台詞について,本件映画の「お前は強い子だから,そんなことは気にせずに今までどおり生きていけるはずだ」という台詞による複製権又は翻案権の侵害

⑧ 別紙対比表4-1のエピソード7における本件著作物1の「あんたが襲われたのはあんたのせいではないけど,私たちのせいでもないんだから,そんなことで私たちを責めないでよね!」という台詞について,本件映画の「あなたが襲われたのは,私たちのせいだって言うの?そんなの筋違いだわ!」という台詞による複製権又は翻案権の侵害

イ 前記①ないし⑧の本件各著作物の台詞自体は,いずれもごく短いものであり,台詞そのものに表現上の創作性があるとはいえず,ありふれたものであって,各台詞はそれ自体で被控訴人の個性が表れているということはできない。

したがって,仮に,前記①ないし⑧の各台詞が類似又は同一と解されるとしても,上記台詞のみでは,思想又は感情を創作的に表現したものとはいえない。被控訴人の主張は,理由がない。

 

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