共同制作者がいる場合の「依拠」の該当性

 

▶平成8年04月16日東京高等裁判所[平成5(ネ)3610]

(二) ところで、ある作品の制作者において原著作物に接する機会がなく、その存在及び内容を知らなかった場合には、これを知らなかったことについて過失があると否とにかかわらず、原著作物に依拠して当該作品を制作したものということはできず、その者に著作権侵害の責任を問うことはできないものと解される(最高裁昭和53年9月7日判決参照)。

右のように、対象となる作品が原著作物に依拠して作成されたものであるか否かは、当該作品の制作者につき判断されるべき事項であるから、対象となる作品が共同制作にかかるものである場合には、共同制作者のそれぞれにつき依拠の要件を充足しているか否かを判断する必要があるが、共同制作者の全員が原著作物に接していなければならないというものでは必ずしもなく、自らは原著作物に接する機会がない場合であっても、当該作品を制作するについて他の共同制作者が原著作物に接していて、これに依拠していることを知っているような場合には、原著作物に接する機会のない者についても、同様に依拠の要件を充足しているものと認めるのが相当である。

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