著作権の二重譲渡と対抗関係の例 | 著作権コンサルタントが伝えたいこと

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著作権の二重譲渡と対抗関係の例

 

▶平成11年11月17日東京地方裁判所[平成10(ワ)13236]▶平成13年05月30日東京高等裁判所[平成11(ネ)6345]

[控訴審]

9 本件著作権の第三者への譲渡について

(1) 被控訴人は、遺産財団管財人ポール・オニールが遅くとも1948年6月5日までに本件著作権を含むキューピー作品に係る著作権をジョゼフ・カラスに譲渡したと主張する。

(2) しかしながら、仮に、遺産財団管財人ポール・オニールがジョゼフ・カラスに対し本件著作権を譲渡し、この譲渡契約が有効であるとしても、上記のとおり、遺産財団から控訴人に対する本件著作権譲渡による物権類似の支配関係の変動については、本件著作権の保護国である我が国の法令が準拠法となるから、本件著作権について、ジョゼフ・カラスに対する譲渡と控訴人に対する譲渡とが二重譲渡の関係に立つにすぎず、控訴人に対する本件著作権の移転が効力を失うものではない。

我が国著作権法上、被控訴人は、本件著作権について、譲渡を受け、又は利用許諾を受けるなど、控訴人が本件著作権譲渡の対抗要件を欠くことを主張し得る法律上の利害関係を有しないから、控訴人は、被控訴人に対し、対抗要件の具備を問うまでもなく、本件著作権を行使することができる。なお、本件著作権譲渡の法律効果について我が国著作権法が適用されるということは、著作権譲渡の対抗要件についても同様であることを意味するところ、控訴人は、遺産財団から本件著作権の譲渡を受けたことについて、我が国著作権法77条1号に基づく著作権の登録申請手続を行い、平成10年8月25日に登録を受けた結果、上記対抗要件を具備していることは上記認定のとおりであるから、この点においても、被控訴人の主張は理由がない。

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