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著作者人格権は合併・分割を経た会社に承継されるか
▶平成26年9月12日東京地方裁判所[平成24(ワ)29975等]
(4) 著作者人格権の承継について
被告は,原告が会社分割に際して,読売新聞社から原書籍1及び2に係る著作財産権を承継したとしても,その著作者人格権までも承継することはあり得ないとして,原告について著作者人格権侵害が成立する余地はない旨主張する。
しかし,著作者人格権の一身専属性(著作権法59条)は,会社等の法人については,合併・分割を経ても同一性を失うことなく存続していると評価できる場合には,当該法人は著作者たる地位を失わないと解するのが相当であるところ,前記及び証拠によれば,読売新聞社は,読売新聞グループの再編に伴い,旧商法373条の新設分割により,原告を新設分割会社として,読売新聞グループの持株会社である読売新聞グループ本社と原告とに会社分割され,原告には,それまで読売新聞社が行っていた事業のうち,土地の賃貸に関する事業を除く全ての事業が承継されており,また,グループ会社の株式と一部の土地,預金を除くほとんど全ての資産が承継されていること,読売新聞グループ本社は,原告を含む子会社の株式を保有し,その事業活動を支配・管理することを目的としており,読売新聞社が有していた著作権及び著作者人格権は全て原告が承継して,それらを管理・行使するものとされていることが認められる。以上によると,原告は,旧商法373条の新設分割による設立会社であり,同法374条の10第1項により読売新聞社の権利義務を承継しており,当該承継は,当該権利に関する読売新聞社の地位を承継する包括承継と解される。
したがって,原告は,上記新設分割において,原書籍1及び2に関して,読売新聞社との同一性を失うことなく存続しているのであって,原書籍 1及び2に関する著作者人格権をも承継したものと認められるから,被告の上記主張は採用することができない。
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