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「ラダー図」の著作物性を否定した事例

 

▶平成29年11月16日東京地方裁判所[平成28(ワ)19080]▶平成30年6月20日知的財産高等裁判所[平成29(ネ)10103等]

【(3)ア 著作権法2条1項1号所定の「創作的に表現したもの」というためには,作成者の何らかの個性が表れている必要があり,表現方法がありふれている場合など,作成者の個性が何ら表れていない場合は,「創作的に表現したもの」ということはできないと解するのが相当である。

ラダー図は,電機の配線図を模式化したシーケンス図をさらに模式化したものであるから,ラダー図は配線図に対応し,配線図が決まれば,ラダー図の内容も決まることとなり,したがって,その表現方法の制約は大きい。ラダー図においては,接点等の順番やリレー回路の使用の仕方を変更することにより,理論的には,同一の内容のものを無数の方法により表現できるが,作成者自身にとってその内容を把握しやすいものとし,また,作成者以外の者もその内容を容易に把握できるようにするには,ラダー図全体を簡潔なものとし,また,接点等の順番やリレー回路の使用方法について一定の規則性を持たせる必要があり,実際のラダー図の作成においては,ラダー図がいたずらに冗長なものとならないようにし,また,接点等の順番やリレー回路の使用方法も規則性を持たせているのが通常である。

イ 控訴人プログラム①は,控訴人19年車両の車両制御を行うためのラダー図であるが,共通ブロックの各ブロックは,いずれも,各接点や回路等の記号を規則に従って使用して,当該命令に係る条件と出力とを簡潔に記載しているものであり,また,接点の順番やリレー回路の使用方法も一般的なものであると考えられる。

(略)

(4) 以上のとおり,控訴人プログラム①の拡幅操作部分には創作性は認められず,また,控訴人プログラム①のモジュール分割の方法にも創作性は認められない。そして,控訴人プログラム①のその他の部分の創作性については,控訴人から何らの指摘もないところ,証拠上,創作性を認めるに足りる部分の存在も

うかがえないから,同部分についても創作性を認めることはできない。

したがって,控訴人プログラム①の著作物性は認められないから,控訴人プログラム①の著作権侵害は認められない。】

[控訴審同旨]

 

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