氏名表示権侵害(「読売新聞社会部」→「読売社会部C班」)を認定した事例

 

▶平成26年9月12日東京地方裁判所[平成24(ワ)29975等]

(2) 氏名表示権侵害について

著作権法19条1項によれば,著作者は,その著作物の原作品に,又は著作物を利用するに当たって著作者名を表示するか否か,表示するとすればいかなる著作者名を表示するかを決定することができると解されるところ,前記及び証拠によれば,原告は,原書籍 1 及び2の出版に当たり,その著作者名を「読売新聞社会部」とすることに決定して表示したこと,ところが,本件書籍は,原書籍1及び2の復刻版であるにもかかわらず,その著者名を原書籍 1 及び2のように「読売新聞社会部」とはせず,「読売社会部C班」とするものであること,原告は,本件書籍の著者名を「読売社会部C班」とすることに強く異議を述べていることが認められる。

かかる事情に鑑みると,著者名を「読売社会部C班」として本件書籍を発売等頒布した被告の行為は,著作者である原告が決定した著作者名の表示を原告の意に反して改変した上,これを公衆へ提供したものと認められるから,被告の上記行為は,原書籍1及び2について原告が保有する氏名表示権の侵害行為に該当すると認めるのが相当である。

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