名誉声望毀損行為(法113条11項)に当たらないとされた事例

 

▶平成26年9月12日東京地方裁判所[平成24(ワ)29975等]

(3) 名誉・声望権侵害について

原告は,被告が本件書籍を発売等頒布した行為は,被告がCに執筆させた本件書籍の本件あとがきの内容が,原告を含む読売新聞グループの名誉を毀損し,自らを正当化するC個人の一方的な主張を含んでおり,読売新聞グループとCが対立関係にあり,かつその関係が広く報道されて世間も耳目を集めるなかでは,原告が,Cの個人名を冠した著者名の表示や同人の主張を本件書籍に掲載することを許したかのように一般に受け取られることになるから,原告の名誉又は声望を害する方法による原書籍1及び2の利用行為に当たり,著作者人格権のみなし侵害行為(著作権法113条6項[注:現11項。以下同じ])に該当すると主張する。

しかし,著作権法113条6項は,著作物を創作した著作者の創作意図を外れた利用がされることによってその創作意図に疑いを抱かせたり,著作物に表現されている芸術的価値を損なうような形で著作物が利用されることにより,著作者の社会的名誉声望が害されるのを防ぐ趣旨であると認められるから,同項の「著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為」とは,社会的に見て,著作者の創作意図や著作物の芸術的価値を害するような著作物の利用行為をいうと解すべきであるところ,前記(1)で認定したとおり,本件あとがきには,Cが読売新聞グループ本社代表取締役会長を名指しで批判する部分が含まれているものの,その内容は,原書籍1及び2の著作物とは何ら関係のない事実に対する批判であって,本件書籍は本文のほか,原書籍1及び2にそれぞれ付加されていた「あとがき」及び「文庫化にあたっての付記」も忠実に再現していることからしても,原書籍1及び2の著作者の創作意図や著作物の芸術的価値を害するものではないから,被告が本件書籍を発売等頒布した行為は,原告の名誉又は声望を害する方法による原書籍1及び2の利用行為には当たらないと認めるのが相当である。

よって,原告の上記主張は,理由がない。

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