法32条1項の意義と解釈(利用する側に著作物性が認められない場合に同条項は適用されるか)

 

▶平成10年02月20日東京地方裁判所[平成6(ワ)18591]

2 著作権法32条1項は、「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。」と規定しているが、ここにいう引用とは、報道、批評、研究等の目的で自己の著作物中に他人の著作物の全部又は一部を採録するものであって、引用を含む著作物の表現形式上、引用して利用する側の著作物と、引用されて利用される側の著作物を明瞭に区別して認識することができ、かつ、両著作物の間に前者が主、後者が従の関係があるものをいうと解するのが相当である。

本条項の立法趣旨は、新しい著作物を創作する上で、既存の著作物の表現を引用して利用しなければならない場合があることから、所定の要件を具備する引用行為に著作権の効力が及ばないものとすることにあると解されるから、利用する側に著作物性、創作性が認められない場合は、引用に該当せず、本条項の適用はないものである。

3 前記認定事実によれば、本件入場券及び割引入場券のうち本件絵画3を除く部分の記載事項は、単にコレクションの名称、それに含まれる画家名、その他本件展覧会の開催についての事実の記載に過ぎないから、思想又は感情を創作的に表現した著作物であるということはできない。よって、右本件絵画3の複製を自己の著作物への引用であるということはできず、抗弁3は認められない。

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