法47条の「小冊子」の意義

 

▶平成28年6月22日知的財産高等裁判所[平成26(ネ)10019等]

5 本件カタログが展示に伴う小冊子(著作権法47条)に当たるか(争点5)

被告は,オークションにおける公の展示において,観覧者のために著作物の紹介をすることを目的として,小冊子である本件カタログに著作物を掲載したのであり,著作権47条により,その複製は適法である旨主張する。

しかしながら,著作権法47条は,「美術の著作物又は写真の著作物の原作品により,第25条に規定する権利を害することなく,これらの著作物を公に展示する者は,観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介をすることを目的とする小冊子にこれらの著作物を掲載することができる。」と規定しており,同条における「小冊子」は,あくまでも「観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介をすることを目的とする」ものであることを前提としているから,オークションや下見会に参加して実際に作品を観覧する者以外に配布されるものや,著作物の解説又は紹介以外を主目的とするものは,「小冊子」に当たらないと解するのが相当である。

本件カタログは,本件オークションや下見会への参加の有無にかかわらず,被告の会員に配布されるものであるし,その主たる目的は,本件オークションにおける売買の対象作品を特定するとともに,作家名やロット番号以外からは直ちに認識できない作品の真贋,内容を通知し,配布を受けた者の入札への参加意思や入札額の決定に役立つようにする点にあり,観覧者のための著作物の解説又は紹介を主たる目的とするものでもないことが明らかであるから,著作権法47条にいう「小冊子」には当たるとは認められない。

したがって,被告の主張は理由がない。

【より詳しい情報→】http://www.kls-law.org/