【著作物の例示】著作権法第10条の解説です 2/4 | 著作権コンサルタントが伝えたいこと

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【著作物の例示】著作権法第10条の解説です 2/4

 

▼    言語の著作物(1号)

 

「言語の著作物」とは、思想又は感情が言語によって表現される著作物をいいます。典型例としては、例示されている「小説」「脚本」「論文」「講演」のほか、童話や詩、短歌、俳句、講義、講談や落語の台本などが挙げられます。

 

本条第2項は、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は言語の著作物に該当しない旨を定めています。本規定は、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は法2条1項1号にいう「思想又は感情を創作的に表現したもの」に該当しないことから「著作物」に該当せず、よって、法の保護対象にならない旨を確認的に規定したものであると解されています。「著作物」であるためには「思想又は感情を表現した」ことが必要ですので、単なる事実をそのまま記述したようなものは、「思想又は感情を表現したもの」すなわち「著作物」に当たりません。言語表現による記述の内容が、専ら「事実」(例えば、「誰が、いつ、どこで、どのようなことを行った」、「ある物・人が存在する」、「ある物・人の状況・態様がどのようなものである」など)を書き手の格別の評価や意見を入れることなく、そのまま記述する場合には、その書き手の「思想又は感情」を表現したことにならない、つまり、そのようなものは「著作物」に該当しないと解されます。もっとも、ある事実を素材とした場合であっても、その事実を基礎としつつも、そこに筆者の当該事実に対する何らかの評価や批評・意見等が表現されていれば、著作物性を有することになります。なお、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」とは、人事異動や死亡記事など、単なる日々の社会事象をそのまま報道した記事を意味します。書き手の個性が現われる通常の報道記事や社説は、「言語の著作物」として要保護性があります。

 

▼ 音楽の著作物(2号)

 

「音楽の著作物」とは、思想又は感情が音や旋律によって表現される著作物をいいます。歌謡曲やオペラ、クラシック、ジャズ、民謡などの楽曲がその典型例です。

上述したように、歌謡曲やオペラなどは楽曲に歌詞を伴いますので、これらは、「音楽の著作物」と「言語の著作物」とが結合した著作物(いわゆる「結合著作物」)として見ることができます。

 

▼    舞踊無言劇の著作物(3号)

 

「舞踊無言劇の著作物」とは、思想又は感情が振付け(身振りや動作)によって表現される著作物をいいます。日本舞踊やダンス、バレイ、能楽などの振付け、パントマイムが典型例です。

著作物性が問題とされるのは「振付け」「所作」そのものです。その振付けや所作をもとに演じられる舞踊や踊りは、「実演」に該当し(踊っている者は「実演家」に該当します。)、著作隣接権の対象となります。

 

▼    美術の著作物(4号)

 

「美術の著作物」とは、思想又は感情が、線・形状・色彩・明暗等によって平面的又は立体的に、美的に表現される著作物をいいます。例示されている「絵画」「版画」「彫刻」のほか、マンガやイラスト、書、生け花、舞台装置などがその典型例です。

一品製作にかかる「美術工芸品」(例えば、壺、織物、刀剣など)もこの「美術の著作物」に含まれることが明記されています(2条2項)。

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