言語著作物の侵害性 | 著作権コンサルタントが伝えたいこと

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言語著作物の侵害性

 

▶令和3年3月26日東京地方裁判所[平成31(ワ)4521]▶令和3年10月27日知的財産高等裁判所[令和3(ネ)10048]

1 争点1(原告ワークブックに関する著作権侵害及び著作者人格権侵害の成否)について

⑴ 争点1-1(原告ワークブックに係る著作権(複製権及び翻案権)の侵害の成否)について

ア 著作権法は,著作物とは,思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの(同法2条1項1号)をいい,複製とは,印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再製することをいう旨規定していること(同項15号)からすると,著作物の複製(同法21条)とは,当該著作物に依拠して,その創作的表現を有形的に再製する行為をいうものと解される。

また,著作物の翻案(同法27条)とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴である創作的表現の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の創作的表現を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいうものと解される。

そうすると,被告レジュメが原告ワークブックに係る著作物を複製又は翻案したものに当たるというためには,原告ワークブックと被告レジュメとの間で表現が共通し,その表現が創作性のある表現であること,すなわち,創作的表現が共通することが必要であるものと解するのが相当である。

一方で,原告ワークブックと被告レジュメにおいて,アイデアなど表現それ自体ではない部分が共通するにすぎない場合や共通する表現がありふれた表現である場合には,被告レジュメが原告ワークブックを複製又は翻案したものに当たらないと解される。

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