著作権の共有持分の信託譲渡について他の共有者の同意は不要か

 

▶平成24年02月14日知的財産高等裁判所[平成22(ネ)10024]

一審原告は,日本法,韓国法のいずれにおいても,いわゆる共作楽曲の著作権の共有持分の信託譲渡については,信託受託者が著作権の円滑な行使を妨げることは考えられないため,他の共有者の同意は不要と解すべきであり,仮にこれが必要であるとしても,著作権等管理事業者の役割に鑑みれば,著作権等管理事業者に対する著作権の共有持分の信託譲渡については,他の共有者の黙示の同意があったと解すべき旨主張する。

しかし,著作権の共有持分の譲渡については,日本,韓国両国において,他の共有者全員の同意が必要とされており(日本国の著作権法65条1項,韓国の著作権法48条1項),この点は,著作権等管理事業法に基づく著作権の共有持分の信託譲渡であっても,どの著作権等管理事業者にどのような条件で信託譲渡するかにつき全ての共有者が同じ意見であるとは限らないから,共有者の同意が不要であるとか,黙示の同意があったと解することはできないので,一審原告の上記主張は採用することができない。

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