翻案権譲渡の「特掲」を認めなかった事例

 

▶平成26年05月21日知的財産高等裁判所[平成25(ネ)10082]

そして,控訴人がいかなる根拠に基づいて本件意見書の翻案権を有するのかはその主張から必ずしも明らかではないが,著作権を譲渡する契約において翻案権が譲渡の目的として特掲されていないときは,翻案権は譲渡した者に留保されたものと推定されるところ(著作権法61条2項),前記において認定した本件意見書の各著作者と控訴人間の管理委託及び出版権設定契約書においては,翻案権が譲渡の目的として特掲されておらず,また証拠中の「※意見書については,著作権及び版権は,©風の谷委員会に帰属します。」との記載だけでは,翻案権が譲渡の目的として特掲されていたということはできない。他に控訴人が本件意見書の翻案権を有することを認めるに足りる証拠はない。

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