【公表権】著作権法第18条(1項,2項)を解説します。2/3

 

「公表権」とは、著作者に認められている、未公表著作物の公表に係わる決定権のことですが、具体的には、次の3つの内容を含むものとされています:

① 自己の未公表著作物を公衆に提供し又は提示するか否かを決定すること。

② 公衆に提供し又は提示するとしたならば、いかなる態様で公表するか(例えば、出版か、上演か、放送か等)を決定すること。

③ いつ・いかなる時期に公衆に提供し又は提示するかを決定すること。

 

公表権は、いわば、まだ公表されていない自分の著作物を無断で公表されない権利ですから、「著作者の同意を得ずに無断でその著作物を公表する行為」は、公表権の侵害となり得ます。さらに、「著作者による著作物の公表(公衆への提供提示)を無権限で妨害する行為」も公表権の侵害となりうると解されます。もっとも、公表権をもって、著作者が第三者に対し自己の著作物を公衆に提供し又は提示することを積極的に請求する権限まで認めるものではないと解されます。

 

公表権の対象となる未公表著作物には、「著作者の同意を得ないで公表された著作物」が含まれます(1項かっこ書)。そのため、外見上は公表されているように見えても、それが著作者の同意を得ずになされたものであれば、公表権との関係では「公表されていない」(未公表)ものとして扱われ、よって、そのような著作物をさらに著作者に無断で公衆に提供し又は提示する行為には、なお公表権が働きます。注意してください。

 

▶未公表の二次的著作物を公表する場合

 

(例) 小説(原著作物)→脚本(二次的著作物)→公表

例えば、まだ公表されていない小説(原著作物)を脚色して、ある脚本が作成されたとします。この脚本は、原著作物である小説の「二次的著作物」(2条1項11号)になるのですが、当該脚本がまだ公表されていない場合には、その原著作物である小説の著作者には公表権が認められます(1項後段はこのことを述べています)。したがって、当該脚本(二次的著作物)を公衆に提供し又は提示する場合には、その脚本の著作者の同意を取り付けることはもちろんですが、そのもとになっている小説(原著作物)の著作者の同意も必要になります。彼らの同意を得ずに脚本を公表すれば、彼らの有する公表権を侵害することになります。この点も留意してください。

【より詳しい情報→】http://www.kls-law.org/