著作物(イラスト)の管理を行うエージェンシー業者の過失責任を認定した事例

 

▶平成11年09月21日東京高等裁判所[平成10(ネ)5108等]

1 争点1(同一性保持権侵害の成否)について

(略)

(五) 本件著作物を利用する行為をしたのは、アドNであり、控訴人らは何らの利用行為もしていないから控訴人らに同一性保持権侵害はあり得ないとする控訴人らの主張も失当である。アドNによる本件利用は、控訴人らの行為があることによりできたものであり、これらがなければ出来していなかったことは、後に3で述べるとおりであり、控訴人らは、そこで認定されている行為によりアドNによる本件利用を生じさせたのであるから、これらの行為が同一性保持権を侵害する行為としての評価を受けるのである。

(略)

3 争点3(控訴人らの過失の有無)について

(一) 控訴人アートBは、イラストレーターからの委託に基き、料金をとってイラスト作品を顧客に貸し出すことを業として行っているものであり、控訴人Kは、控訴人アートBの代理店としてイラスト作品貸出しに係る代理店業務を行っているものであるから、両者は、協力して、その管理するイラストに係る権利について善良なる管理者の注意をもって事務処理をすべき義務を負っているものと解され、顧客から、その管理するイラストであって、本件著作物のように利用申込みの都度イラストレーターにより貸出しの可否の判断がなされることにされているもの(「扱いC」のもの)につき改変利用の希望があり、これをイラストレーターに取り次ぐ場合には、顧客の希望する改変の内容、方法、範囲について正確に把握し、これを、誤解の生じないように正確にイラストレーターに伝えて承諾の可否について打診し、イラストレーターが了解を与えた場合には、その内容を誤解の生じないような形で正確に顧客に伝えることにより、顧客による著作者人格権等の侵害が発生することのないよう細心の注意を払うべき義務があったものと解すべきである。

(略)

以上のとおり、右に述べた控訴人らの行為は、いずれも、本件著作物に関して被控訴人が有する同一性保持権の侵害の発生を防止すべき義務に違反してなされたものであって、控訴人らのいずれにも過失があり、アドNによる同一性保持権侵害行為(本件利用)がこれらがなければ発生しなかったことは明らかであるから、控訴人らの右各行為は、被控訴人の有する本件著作物に関する同一性物保持権を侵害する共同不法行為を構成するものである。

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