【職務著作(法人著作)】会社は著作者になれる!? 3/4
② 業務要件:法人等の「業務に従事する者」により作成される著作物であること。
この要件については、次の最高裁の判例(平成15年4月11日最高裁判所第二小法廷[平成13(受)216])が参考になります:
『著作権法15条1項は,法人等において,その業務に従事する者が指揮監督下における職務の遂行として法人等の発意に基づいて著作物を作成し,これが法人等の名義で公表されるという実態があることにかんがみて,同項所定の著作物の著作者を法人等とする旨を規定したものである。同項の規定により法人等が著作者とされるためには,著作物を作成した者が「法人等の業務に従事する者」であることを要する。そして,法人等と雇用関係にある者がこれに当たることは明らかであるが,雇用関係の存否が争われた場合には,同項の「法人等の業務に従事する者」に当たるか否かは,法人等と著作物を作成した者との関係を実質的にみたときに,法人等の指揮監督下において労務を提供するという実態にあり,法人等がその者に対して支払う金銭が労務提供の対価であると評価できるかどうかを,業務態様,指揮監督の有無,対価の額及び支払方法等に関する具体的事情を総合的に考慮して,判断すべきものと解するのが相当である。』
法人等と著作物を作成した者との間に雇用関係(雇用契約)があれば、その者が「法人等の業務に従事する者」に該当することは明らかでしょうが、両者間に明確な雇用関係がなくても、つまり、委任契約や請負契約に基づく場合であっても、雇用関係における指揮監督関係に匹敵する程度の実質的な指揮監督関係が認められるならば、「法人等の業務に従事する者」に該当しうる場合があると思われます。例えば、フリーのライターが出版社の指揮監督下で他の従業員と同様な立場で雑誌記事の作成業務に関与した場合の当該フリーライターは、一般的に「法人等の業務に従事する者」といえるでしょう。
労働者派遣事業法に基づく派遣労働者が作成した著作物については、どのように考えられるか。派遣労働者は、派遣元とも雇用関係を維持しつつ、派遣先の指揮命令を受けて派遣先のために働きます。したがって、「実質的な指揮監督関係」を重視する考え方に立てば、派遣元との形式的な雇用関係でとらえることは妥当でなく、よって、派遣労働者は、派遣先の業務に従事する者に該当することになるでしょう。
なお、「法人等の業務に従事する者」には,当該法人の代表取締役も含まれると解されます。
【より詳しい情報→】http://www.kls-law.org/