世界各地のSLの様子を撮影した映像のテレビ局への販売につき頒布権侵害を認定した事例

 

▶平成24年03月22日東京地方裁判所[平成22(ワ)34705]

(3) 以上のとおりであるから,被告O企画による本件テレビ番組の制作,被告O社による本件テレビ番組の販売及び販売先のテレビ局による本件テレビ番組の放送につき,原告の許諾を得ていたと認めることはできない。また,前記認定のとおり,本件テレビ番組がテレビで放送された当時,本件ビデオ映像は,まだ公表されていなかったものであり,かつ,同番組には,撮影者である原告の氏名は表示されていなかったことが認められる。

したがって,原告は,被告O企画が,原告の意に反して本件ビデオ映像を編集し,本件ビデオ映像の一部を利用して本件テレビ番組を制作したことにより,本件ビデオ映像に係る原告の著作権(複製権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害されたものと認められる。

また,原告は,被告O社が,本件テレビ番組がテレビで放送されることを目的として,同番組をテレビ局に販売し,その後同番組がテレビで放送されたことにより,本件ビデオ映像に係る原告の著作権(頒布権及び公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権及び公表権)を侵害されたものと認められる。

なお,被告らは,本件テレビ番組の販売先は特定かつ少数であるから,被告O社が本件テレビ番組を販売した行為は原告の著作権(頒布権)を侵害するものではないと主張する。しかしながら,被告O社が,本件テレビ番組がテレビで放送されること,すなわち,同番組を公衆に提示すること(著作権法2条1項19号)を目的として同番組をテレビ局に販売したことについては上記認定のとおりであるから,被告O社の上記行為は原告の著作権(頒布権)を侵害するものといえる。

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