訴状をブログ記事内にそのデータファイルへのリンクを張る形で公表する行為の侵害性

▶令和3年7月16日東京地方裁判所[令和3(ワ)4491]

 

(注) 原告は,別件の名誉毀損訴訟(「別件訴訟」)の訴訟代理人であり,被告は,同訴訟の被告の一人でもあるところ,被告は,原告に無断で,別件訴訟の第1回口頭弁論期日の前に,原告の作成した別件訴訟の訴状(「別件訴状」)を,自らのブログの記事内にそのデータファイルへのリンクを張る形で公表するなどした。

本件は,原告が,被告に対し,被告の上記行為は,別件訴状に係る原告の著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(公表権)を侵害するものであるとして,慰謝料等の支払を求めた事案である。

 

1 争点1(別件訴状に係る著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(公表権)侵害の成否)について

前提事実及び証拠によれば,別件訴状を複製して作成したデータをアップロードし,本件ブログ記事に同データへのリンクを張った被告の行為は,別件訴状について,公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信をするものであり(著作権法2条1項7号の2),未公表の別件訴状を公衆に提示(同法4条)するものであるから,別件訴状に係る原告の著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(公表権)侵害を構成する。

被告は,裁判の公開の原則(憲法82条)や訴訟記録の閲覧等制限手続(民訴法92条)があることを理由として,訴状を非公表とすることに対する原告の期待を保護する必要性は低いと主張するが,裁判の公開の原則や閲覧等制限手続が存在することは,被告の行為が著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(公表権)侵害を構成するとの上記結論を左右しない。

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