公衆送信権及び公表権に基づく権利行使が権利濫用に当たり許されないとした事例

 

▶令和3年12月22日知的財産高等裁判所[令和3(ネ)10046]

⑷ 権利濫用の成否

前記⑴のとおり,一審原告が本件懲戒請求書に関して有する,公衆送信権により保護されるべき財産的利益,公表権により保護されるべき人格的利益は,もともとそれほど大きなものとはいえない上,一審原告自身の行動により,相当程度減少していたこと,前記⑵のとおり,本件記事1を作成,公表し,本件リンクを張ることについて,その目的は正当であったこと,前記⑶のとおり,本件リンクによる引用の態様は,本件事案における個別的な事情のもとにおいては,本件懲戒請求に対する反論を公にする方法として相当なものであったことを総合考慮すると,一審原告の一審被告Yに対する公衆送信権及び公表権に基づく権利行使は,権利濫用に当たり,許されないものと認めるのが相当である。

【より詳しい情報→】http://www.kls-law.org/