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音楽著作物(歌詞の文字表示及び伴奏音楽)の「上映権」侵害を認定した事例

 

▶平成6年03月17日大阪地方裁判所[昭和63(ワ)6200]

次に、前記事実関係のもとにおいて、被告A及び同Bの昭和61年5月17日から昭和63年7月16日までの間の映像の連続再生を伴うレーザーディスクカラオケ装置(本件装置)の無許諾での利用行為に関する損害賠償責任の有無について考えるに、同装置で使用されるレーザーディスクはその中に原告の管理する音楽著作物(管理著作物)の歌詞の文字表示及び伴奏音楽とともに連続した映像を収録したものであり、映画の効果に類似する視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物であるから、著作権法上は、映画の著作物に該当する(2条3項)。そして、本件装置により右レーザーディスクを再生するとき、モニターテレビ画面には収録された連続した映像と音楽著作物の歌詞の文字表示が映し出され、スピーカーからは収録された管理著作物の伴奏音楽が流れ出るのであるから、これが映画の著作物の上映に該当することは明らかである。したがって、モニターテレビに管理著作物の歌詞の文字表示が映し出されることはその管理著作物の上映に該当するし、スピーカーから流れ出る管理著作物の伴奏音楽も、著作権法2条1項19号が、「上映」について「著作物を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴って映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。」と定義し、同法26条2項が、「著作者は、映画の著作物において複製されているその著作物を公に上映し、又は当該映画の著作物の複製物により頒布する権利を専有する。」と規定しているから、映画の著作物の上映に該当するため、附則14条にいう「適法に録音された音楽の著作物の演奏の再生」に該当せず、同条の特例措置は適用されないことになる。また、著作権法38条1項は非営利かつ無料の著作物の上映、演奏などを原則自由としているが、スナックなどの社交場等における利用は、営利目的のものと認められるから、これらの規定の適用もない。したがって、同被告らが本件店舗において本件装置により管理著作物を収録したレーザーディスクを再生しこれに合わせてホステス等従業員や客に歌唱させるときは、それは、管理著作物の上映(歌詞の文字表示と伴奏音楽部分)と演奏(歌唱部分)に当たり、これらの行為をすることは、原告の管理著作権の上映権及び演奏権の侵害となるといわざるを得ない。また、前掲最高裁判決の理由説示と同一の理由で、右レーザーディスクの製作に当たり原告に対し使用料が支払われているとしても、それは原告の管理著作物をレーザーディスクに収録することの許諾のための使用料であり、レーザーディスクに収録された管理著作物を営利を目的として公に再生することの許諾までを含むものではないと認められるから、営利を目的として公にされる上映についてまで、著作権者の許諾なく自由になしうるものと解することはできない。同被告らが、原告の許諾を得ないで、本件店舗において、ホステス等従業員や客にレーザーディスク装置(本件装置)を使用して管理著作物を収録したレーザーディスクカラオケを再生し、そのカラオケ伴奏により管理著作物たる楽曲を歌唱させることは、原告の管理著作物についての著作権の一支分権たる演奏権を侵害すると同時に、その一支分権たる上映権をも侵害するものというべきであり、同被告らは当該演奏及び上映の主体として右演奏権及び上映権侵害に対する損害賠償責任を負担するものというべきである。

 

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