業務用レーザーディスクカラオケ装置のリース業者の過失責任(共同不法行為性)を認定した事例
▶平成6年03月17日大阪地方裁判所[昭和63(ワ)6200]
以上の諸事情を総合考慮すると、被告会社の業務用カラオケ装置のリース行為は、それ自体を切り離して抽象的に見れば原告の管理著作権を侵害するものではないとしても、カラオケ装置により再生されるレーザーディスクに収録されている音楽著作物の大部分は原告の管理著作物であり、原告の許諾を得ずに同装置を使用することが即管理著作権の侵害となるというリース物件たる業務用カラオケ装置の現実の稼働状況を含めて全体として考察すれば、管理著作権侵害発生の危険を創出し、その危険を継続させ、またはその危険の支配・管理に従事する行為であると同時に、それによって被告会社は対価としての利得を得ているのであるから、右行為に伴い、当該危険の防止措置を講じる義務、危険の存在を指示警告する義務を生じさせると解するのが条理に適う見方である、これをより具体的に言えば、著作権侵害行為は、著作権法119条により3年以下の懲役又は100万円以下の罰金[注:現在は「10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金」]という、重い刑事罰を課される違法性の高い行為であり、民事上も同法112条1項に基づき著作権者による停止・予防請求の対象となり、侵害行為を組成した物の撤去義務も法律上明示されている行為である(同条2項)から、多数の業務用カラオケ装置をリースする立場にある被告会社としては、遅くとも新規程の施行時期(昭和62年4月1日)以降の新規契約の締結に際しては、契約書の契約条項に記載するなどの方法により、リース物件のカラオケ装置等を営業目的のために使用する場合、原告との間に著作物使用許諾契約を結ぶよう留意すべき旨をリース先のカラオケスナック店の経営者に対し周知徹底させて契約締結を促すのはもとよりのこと、当時既にリース契約中の者についても、原告との使用許諾契約の締結の有無を調査確認し、未だ許諾契約締結に至っていない場合は、右経営者に対し、速やかに、かつ、円満に原告との間の契約締結交渉に応じるよう指示、指導すべき注意義務があり、もしその指示指導に右経営者が従わないときは、リース物件(カラオケ装置等)を使用して現に犯罪行為(著作権侵害)をしているのであるから、条理上当然にリース契約を解除することができると解されるので、直ちにリース契約を解除してリース物件(カラオケ装置等)を引き上げるべき注意義務があったといわねばならず、その時点では、被告会社はもはや自らの利益追及に汲々としたり、あるいは自らの新規程の合理性等に関する一企業としての見解や疑念に固執することは許されなかったものというべきである。
しかるに、被告会社は、以上の注意義務を怠り、リース先の本件店舗の経営者である被告A及び同Bに対し、以上の指摘の如き措置を何ら講じなかったばかりか、原告職員の事前の協力要請にも真摯に耳を傾けず、むしろ原告によるカラオケ管理の妨害行為の疑いすら招きかねない行為に及んだものであり、その点でカラオケリース業者として用いるべき相当の注意を欠いたものであることは明らかである。これを要するに、被告会社は、被告A及び同Bが原告の管理著作権を侵害するのを幇助し、これに加功したものであり、その幇助・加工について過失があるから、同被告らとともに共同不法行為者たる地位に立つものといわざるを得ない(民法719条2項)。
[参照]▶平成13年3月2日最高裁判所第二小法廷[平成12(受)222]
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