Q 著作権法101条の3について、もう少し教えてください。

 

A 承知しました。

 

著作権法101条の3は、「実演家の死後における人格的利益の保護」について、次のように規定しています:

「実演を公衆に提供し、又は提示する者は、その実演の実演家の死後においても、実演家が生存しているとしたならばその実演家人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該実演家の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。」

実演家人格権は、実演家の死亡とともに消滅するため(101条の2)、実演家の死後におけるその人格的利益の保護を担保するため、本条が設けられています。

「実演家が存しているとしたならばその実演家人格権の侵害となるべき行為」とは、「氏名表示権」(90条の2・1項)、「同一性保持権」(90条の3・1項)を侵害する行為のみならず、法113条(1項・8項)に該当して「侵害とみなされる行為」を含むと解されます。

ただし書き中「行為の性質」とは、「実演家人格権の侵害となるべき行為」が主体的か、付随的か、また、その行為が積極的か、消極的かということを意味し、「行為の程度」とは、「実演家人格権の侵害となるべき行為」によって作成された侵害複製物の部数やその頒布領域、当該侵害行為の頻度等を意味すると解されます。「社会的事情の変動」とは、社会的価値観の変化や社会的制度の推移等を意味しています。

なお、実演家の死後においてその人格的利益を侵害する行為は「犯罪」であると捉えられており、本条に違反した場合には、刑事罰として罰金(「500万円以下の罰金」」)が科せられます(120条/非親告罪(123条参照))。

【より詳しい情報→】http://www.kls-law.org/