「個性心理学」にかかるテキスト・レポート等の二次的著作物性が争点となった事例
▶平成30年6月1日東京地方裁判所[平成26(ワ)25640等]
a 本件共同著作物の著作者
原告らは,原告レポート1が本件共同著作物の二次的著作物であることを前提とした上で,本件共同著作物の著作者は原告XとMであると主張する。
そこで検討するに,本件共同著作物の原案を作成したのがMであることは,その旨をMが証言するのみならず,原告X及び被告Y1ともに認めるところである。
原告Xは,Mが本件共同著作物を作成するに当たり,必要なテキストや資料を提供し,またMから受け取った原案に大幅に加筆したことを根拠に自らも本件共同著作物の著作者であると主張するが,原告XがMに対して提供したと主張するテキストや資料は証拠として提出されておらず,提供されたことをうかがわせる客観的な証拠もない。また,原告Xが本件共同著作物に大幅に加筆したと認めるに足りる証拠もない。そうすると,原告Xが本件共同著作物の著作者の一人であると認めることはできない。
(略)
c 原告レポート1の創作性
上記aのとおり,本件共同著作物の著作者はMであると認められるところ,原告表現2-1-1~120と本件共同著作物の表現とが相違する部分については,前記認定のとおり,平成9年11月までの間に原告Xが加筆修正した部分であると認められる。二次的著作物の著作権は,二次的著作物において新たに付与された創作的部分のみについて生じ,原著作物と共通しその実質を同じくする部分には生じないと解するのが相当であるので(平成9年7月17日第一小法廷判決),原告Xが著作権によって新たに付与された部分に創作性が認められるかどうかについて,以下検討する。
この点,被告らは,原告レポート1と本件共同著作物の相違部分には創作性がないと主張する。しかし,対比表2を参照して,原告表現2-1-1~120と本件共同著作物の表現を対比すると,原告表現の文章の長さは,いずれも対応する本件共同著作物の文章の長さよりも,相当程度に長く,概ね1.5倍程度になっていることから,原告表現2-1-1~120の少なくとも3分の1は,原告Xが新たに創作した部分であると認められる。
そして,原告Xが加筆した部分は形式的な修正にとどまらず,例えば,原告表現2-1-1において「マスコットがチータのあなたは,人生の目標を大きく持ち,それを達成するまで何度もチャレンジを続けます。世界中を飛び回って活躍するような,ダイナミックな一生を送りたいと思っているでしょう。」との表現が付加されているように,原告レポート1には本件共同著作物にはない新たな文章が付加されており,その部分がありふれているということはできない。
また,本件共同著作物と原告表現2-1-1~120とで文章の位置が入れ替わっているものも多くみられる。例えば,原告表現2-1-1についてみると,対応する本件共同著作物の第2段落(「実行力は旺盛で」で始まる段落),第3段落(「常に何かを求めながら」で始まる段落),第6段落(「金銭的にはしまり屋で」で始まる段落)の記載順序が入れ替えられ,原告表現2-1-1の第4段落にまとめて記載され,しかも,上記第3段落の文章の一部は同表現の第2段落に配されていることが看取される。
このように,原告表現2-1-1~120には原告Xが独自に創作した新しい文章が付加されている部分,本件共同著作物の文章の順序が変更されている部分などが多くみられるのであり,これによれば原告レポート1と本件共同著作物の相違部分に係る表現は創作性を有するものと認めるのが相当である。
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