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「染描紙」(装飾材料等として用いられる模様付きの和紙(1点物))の著作物性

 

▶令和5年3月15日東京地方裁判所[平成30(ワ)39895等]▶令和5年12月25日知的財産高等裁判所[令和5(ネ)10038]

【確かに、(証拠)によれば、紙におけるにじみなどの模様は模様付きの和紙としてカタログで販売される ものにも見られるものではある。しかし、控訴人は、楮を原料とし、にじみが良く、染め方に深みを出すことができる和紙に、膠、明礬及び水を混合した礬砂を刷毛で和紙の片面又は両面に引いて乾かし、その際、礬砂の配合量や引き方等を調整したり、複数の刷毛を使い分けたりすることにより、紙上に、水のにじみにくい部分や染料の染みにくい部分を生み出し、毛質、長さ、大小が異なり、特別に注文した複数の刷毛を使い分け、主に柿渋、胡桃、墨、土など自然の染料で和紙を染め、刷毛のあと、にじみにより紙上に色を配置するなどの手法を用いて和紙に模様や色彩を施し、一点ずつ異なる模様の染描紙を制作しており、創作ノートに構図のためのスケッチ、色、染料の選択、配置、濃淡、線や動き等を記載することもあったこと、そして、本件染描紙15から20のうち、本件染描紙18は約65cm×約180cm、それ以外は約74cm×約100cmという大きさを備えるものであって、控訴人は空の情景を意識して本件染描紙15から20を制作していること、それぞれの模様は原判決別紙本件染描紙(15~20)一覧の各写真のとおりであって、控訴人が、特定の色彩を選択して、構図を考えた上で模様を配置し、全体としてまとまりのある図柄を作り上げたものといえることを考慮すれば、創作的表現がされていると認められる。これらの事情を総合すれば、本件染描紙15から20の上記創作的表現は、模様のついた和紙として通常想定される模様とはいえず、実用的な目的のためのものといえる特徴と分離して、美的鑑賞の対象となり得る美的特性を備える部分を把握することができるといえる。したがって、本件染描紙15から20は、控訴人の著作物であると認められる。】

[控訴審同旨]

 

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