系列店店舗の設計図の著作物性を否定した事例

 

▶令和5年1月31日知的財産高等裁判所[令和4(ネ)10079](原審・横浜地方裁判所令和3年(ワ)第1498号等)

2 当審における控訴人の補充主張に対する判断

⑴ 控訴人は、前記のとおり、設計図は、工事に携わる者の間の共通言語であり、特に、設計者と施工者が異なる場合は、設計図面以外での詳細な情報伝達手段はないから、原告設計図全体では創作性があると認められるべきである旨主張する。しかし、設計図が工事に携わる者に共通して利用されるものであることは、むしろ、多くの場合、様々な関係者が施工内容を理解することができるよう、作図上の表現方法や内装の具体的な表現は実用的、機能的でありふれたものにならざるを得ないことを示すものというべきであり、現に、原告設計図や原告設計図の具体的な表現内容が実用的、機能的でありふれたものであることは、引用に係る原判決における説示のとおりである。

また、控訴人は、前記のとおり、原告設計図作成時点において被控訴人運営に係る既存店は、第三者が経営する店舗を譲り受けたものにすぎず、デザイン構築上準備段階のものであり、本件店舗が、被控訴人の経営する系列店舗で初の旗艦店であるから、原告設計図は創作性を有する旨主張する。しかし、ここで問題となっているのは、被控訴人運営に係る各店舗に統一感を持たせる観点から、内装のデザインには一定の制約があったということであり、各店舗の具体的な内装の先後関係ではないから、上記主張は採用できない。

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