Q 著作権法60条について、もう少し教えてください。 | 著作権コンサルタントが伝えたいこと

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Q 著作権法60条について、もう少し教えてください。

 

A 承知しました。

 

著作権法60条は、「著作者が存しなくなった後における人格的利益の保護」について、次のように規定しています:

「著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなった後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。」

著作者人格権は、著作者の死亡とともに消滅するため(59条)、著作者の死後におけるその人格的利益の保護を担保するため、本条が設けられています。

「著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為」とは、「公表権」(18条1項)、「氏名表示権」(19条1項)、「同一性保持権」(20条1項)を侵害する行為のみならず、法113条(1項・8項・11項)に該当して「侵害とみなされる行為」を含むと解されます。

ただし書き中「行為の性質」とは、「著作者人格権の侵害となるべき行為」が主体的か、付随的か、また、その行為が積極的か、消極的かということを意味し、「行為の程度」とは、「著作者人格権の侵害となるべき行為」によって作成された侵害複製物の部数やその頒布領域、当該侵害行為の頻度等を意味すると解されます。「社会的事情の変動」とは、社会的価値観の変化や社会的制度の推移等(例えば、常用漢字の範囲の変化など)を意味しています。

なお、著作者の死後においてその人格的利益を侵害する行為は「犯罪」であると捉えられており、本条に違反した場合には、刑事罰として罰金(「500万円以下の罰金」」)が科せられます(120条/非親告罪(123条参照))。

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