日本舞踊の振付けの著作物性を認定した事例
▶平成14年12月26日福岡高等裁判所[平成11(ネ)358]
1 著作権の成否とその帰属
(1) 特定について
ア 控訴人らは本件各舞踊が特定されていないと主張する。
イ しかし,舞踊著作物は同じ挙措動作を再現でき,鑑賞者が同じ舞踊であると認識できる程度に完成されていればそれで特定されていると解するのが相当である。そして,本件各舞踊が特定されていることは,原判決が的確に説示しているとおりであるから,これを引用する。
ウ 控訴人らは,少なくともかつてはA流に属した者として,体験により本件各舞踊の動きを会得しており,振書によらずともこれを再現することができる。
エ 控訴人らは,原判決添付の振書のみではA流と無関係の第三者は本件各舞踊を再現できないとか,舞踊は演者の人数やその技量により常に変化するとして本件各舞踊は特定されていないとするが,これを採用することはできない。
(2) 創作性について
ア 本件第1舞踊は,A流のために作られた創作音曲に独自の振付がされたもので,同流派を象徴する舞踊である。
イ 本件第2ないし第4舞踊は,従前伝統芸能・民俗芸能として手本となる踊りがあったりするが,それとは離れて独自性のある振付がされたもので,前記のとおり,いずれも,日本民謡舞踊大賞コンクールで受賞する等,客観的にも芸術性が高い。
ウ したがって,本件各舞踊は,いずれも,振付者の思想,感情を創作的に表現したものであるということができ,十分に著作物たりうる創作性を認めることができる。
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