新聞にかかる編集著作権の翻案権の侵害を認定した事例

 

▶平成6年10月27日東京高等裁判所[平成6年10月27日]

新聞は、社会において日々生起するさまざまな出来事を迅速に、かつ幅広く伝達するための刊行物であるから、素材の選択によって編集著作物としての創作性を有するものと評価し得ることの最も重要な要素は、まず、収集された素材である多数の記事に具現された情報の中から、一定の編集方針なり、ニュース性等に基づき、伝達すべき価値のあるものとして、どのような出来事に関する情報を選択して表現しているかという点に存するものと解される。また、配列についていえば、選択された情報(記事)がその重要度や性格・内容等に応じてどのように配列されているかという点にあるものと解される。

被控訴人新聞が編集著作物性を有するものと認められるのも右の趣旨によるものであるから、控訴人文書の作成・頒布が被控訴人新聞の編集著作権を侵害するものであるか否か、すなわち、控訴人文書が被控訴人新聞の翻案であるか否かは、控訴人文書が被控訴人新聞に依拠して作成されたものであるか否か、その内容において、当該記事の核心的事項である被控訴人新聞が伝達すべき価値のあるものとして選択し、当該記事に具現化された客観的な出来事に関する表現と共通しているか否か、また、配列において、被控訴人新聞における記事等の配列と同一又は類似しているか否かなどを考慮して決すべきものと解するのが相当である。

ところで、控訴人文書は、特定の日付けの被控訴人新聞に関するものであることが明らかにされていること、被控訴人新聞に掲載されている記事等のうち控訴人文書において対象とされていないものは僅かであり、被控訴人新聞に掲載されていない記事等が控訴人文書の対象となっていることはないこと、控訴人文書の各記述はほとんど、それぞれ対応する被控訴人新聞の記事等に具現されている情報の前記核心的事項をおおよそ把握し得る内容のものとなっており、控訴人文書によれば、特定の日付けの被控訴人新聞がどのような出来事を取り上げているかの概要を知ることができること、控訴人文書においては、被控訴人新聞の掲載順序にそれぞれ対応する分が、被控訴人新聞において用いられている表題と同様の表題のもとにそれぞれ区分されて、被控訴人新聞における割付順序とほぼ同様の順序で配列されていることなど前記認定の事実によれば、控訴人文書は被控訴人新聞に依拠して作成されたものであり、内容において、当該記事の核心的事項である被控訴人新聞が伝達すべき価値のあるものとして選択し、記事に具現化された客観的な出来事に関する表現と共通している上、被控訴人新聞における記事等の配列と類似していることが認められるから、控訴人文書は対応する特定の日付けの被控訴人新聞の翻案に当たり、控訴人文書の作成・頒布は被控訴人新聞の編集著作権を侵害するものと認めるのが相当である。

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