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装飾街路灯を街路に配置した完成予想図(デザイン図)及びそのデザイン図中の街路灯のデザイン部分の(美術)著作物性を否定した事例
▶平成12年06月06日大阪地方裁判所[平成11(ワ)2377]▶平成13年1月23日大阪高等裁判所[平成12(ネ)2393]
[控訴審]
(一) 本件デザイン図全体について
本件デザイン図は、原判決添付別紙図面のとおりのもので、装飾街路灯を街路に配置した完成予想図である。そして、全体としての構図や色彩、コントラスト等において絵画的な表現形式が取られているものの、右街路灯のデザインが街角でどのように反映するかをイメージ的に描いたものにすぎず、その表現も専ら街路灯デザインを引き立て、これを強調するにとどまっている。
したがって、本件デザイン図は、それ自体、美的表現を追求し美的鑑賞の対象とする目的で製作されたものでなく、かつ、内容的にも、純粋美術としての性質を是認し得るような思想又は感情の高度の創作的表現まで未だ看取し得るものではないから、美術の著作物に当たるものとは認められない。
(二) 本件デザイン図中の街路灯のデザイン部分について
当裁判所も、本件デザイン図中の街路灯のデザイン部分は、著作物とはいえないものと判断する。(以下略)
[参照:原審]
しかるところ、本件デザイン図に描かれた街路灯は、それが実用品のデザインであることはいうまでもなく、しかもそれは、実際に新世界界隈に設置する街路灯のデザインとして、専ら街路灯という物品の性質を考慮した上で、その産業上の利用目的にふさわしいものとして作成されたものであることは原告の主張からしても明らかである。そして、原告代表者の供述によれば、本件デザイン図に描かれた街路灯のデザインは、実際に街路灯の製造を行うK電器産業株式会社が揃えている灯具やアームの規格品のデザインを適宜選択して組み合わせて作成されたものであることが認められるのであるから、本件デザイン図の街路灯のデザインは、街路灯のデザインという実用目的のために美の表現において実質的制約を受けたものであると認められる。
また、確かに本件デザイン図に描かれた街路灯のデザインは、従前新世界界隈に設置されていたものとは異なり、レトロなデザインとしてまとまりのある美感を有するものであるが、レトロなデザインの装飾街路灯という点では、各社から種々のデザインのものが多数販売され、意匠登録を受けているものもあり(いずれも、原告の関連会社であるK電器産業株式会社が意匠権者である。)、実際に大阪市やその近郊では随所に同様の【三灯式すずらん型】装飾街路灯が設置されているのであって、街路灯においてレトロなデザインというのは、一つの確立した産業デザインの類型であるということができる。【そして、これら同種の街路灯デザインと対比した場合、本件デザイン図に描かれた街路灯のデザインは、レトロな美観という創作性の点で大きな格差はなく、右同種の街路灯デザインと同じく、産業デザインの一種としてとらえるのが相当である。】
以上のことからすると、本件デザイン図に描かれた街路灯のデザインは、実用品の産業上の利用を離れて、独立に美的鑑賞の対象となり得るものとはいえず、著作物であるとはいえない。
この点について原告は、本件デザイン図【中の街路灯デザイン】は町会連合会との長期にわたる協議を経て、新世界界隈のシンボルとして人々の美的感覚に訴えるデザインとして原告によって創作されたもので、著作物性を有すると主張するが、【著作物性の有無は、あくまで創作物自体の表現内容から客観的に判断すべきであり、】その表現を創作する過程の努力は必ずしも重視されるべきではないから、原告の主張は採用できない。
【より詳しい情報→】http://www.kls-law.org/