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パズルの著作物性及び侵害性

 

▶平成20年01月31日東京地方裁判所[平成18(ワ)13803]

1 争点1(原告各パズルの著作物性の有無)及び争点2(複製権及び翻案権侵害の有無)について

(1) はじめに

著作物の複製(著作権法21条,2条1項15号)とは,既存の著作物に依拠し,その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製することをいう(最高裁判所昭和53年9月7日第一小法廷判決頁参照)。ここで,再製とは,既存の著作物と同一性のあるものを作成することをいうと解すべきであるが,同一性の程度については,完全に同一である場合のみではなく,多少の修正増減があっても著作物の同一性を損なうことのない,すなわち実質的に同一である場合も含むと解すべきである。

また,著作物の翻案(著作権法27条)とは,既存の著作物に依拠し,かつ, その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ, 具体的な表現に修正,増減, 変更等を加えて, 新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。そして,著作権法は,思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから(著作権法2条1項1号), 既存の著作物に依拠して創作された著作物が思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において,既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には,複製にも翻案にも当たらないと解するのが相当である(最高裁判所平成13年6月28日第一小法廷判決参照)。

このように,複製又は翻案に該当するためには,既存の著作物とこれに依拠して創作された著作物との同一性を有する部分が,著作権法による保護の対象となる思想又は感情を創作的に表現したものであることが必要である(著作権法2条1項1号)。そして,「創作的」に表現されたというためには,厳密な意味で独創性が発揮されたものであることは必要ではなく,作者の何らかの個性が表現されたもので足りるというべきである。換言すれば,何らかの個性を発揮し得る程度に,いくつかの表現を選択することが可能なものである必要があり,文章自体がごく短く又は表現上制約があるため他の表現が想定できない場合や,表現が平凡かつありふれたものである場合には,作者の個性が表現されたものとはいえないから,創作的な表現であるということはできない。

したがって,数学の代数や幾何あるいは物理の問題とその解答に表現される考え方自体は,アイデアであり,これを何らかの個性的な出題形式ないし解説で表現した場合は著作物として保護され得るとしても,数学的ないし物理的問題及び解答に含まれるアイデア自体は著作物として保護されないことは当然である。このことは,パズルにおいても同様であり,数学の代数や幾何あるいは物理のアイデア等を利用した問題と解答であっても,何らかの個性が創作的に表現された問題と解答である場合には,著作物としてこれを保護すべき場合が生じ得るし,これらのアイデアを,ありふれた一般的な形で表現したにすぎない場合は,何らかの個性が創作的に表現されたものではないから,これを著作物として保護することはできないというべきである。

以下,原告各パズルと被告各パズルについて,その同一性ないし共通性を有する部分を認定し,この部分が著作権法による保護の対象となる思想又は感情を創作的に表現したものといえるかどうかについて,個別に判断する(なお,パズルによっては,原告各パズル自体の著作物性を判断し,これと被告各パズルとの類似性を併せて判断することもある。)。

 

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