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「『創作』とは『模倣』でないことを意味する」

 

▶昭和47年10月11日東京地方裁判所[昭和44(ワ)9353]

被告らは、この手記、論文は、文芸、学術若くは美術の範囲に属する独創性を有する精神的作品にはあたらないから、著作権法によつて保護される著作物とはいえない旨主張する。

著作権法によつて保護される著作物とは、文芸、学術、美術もしくは音楽の範囲に属する思想、感情の創作すなわち精神的知的創作と解され、これを言い換えれば、法律によつて保護の対象から除外されたもの(著作権法第10条第2項、第13条、旧著作権法第11条)以外の、真善美その他、人間社会における価値に関して表現されたすべての思想、感情の創作をいうのであつて、このような思想、感情の創作である限り、それは、文芸、学術、美術もしくは音楽のいずれかの範囲に属せしめて解することができ、この範囲は、その分類形態を示すものということができる。そして、「創作」とは「模倣」でないことを意味するものと解すべきである。ところで、成立に争いのない(証拠)によれば、本件27篇の手記、論文はいずれも単なる事実の列記ではなく、原告民青同盟に属する同盟員の労働者としての立場からする経験またはその利害関係あるいは生活要求に根ざした意識に基づく真・善・幸福追及に関して表現された思想、感情を内容とするものであることが認められ、これらが、模倣であるとする資料のない本件では、いずれも文芸、学術の範囲に属する思想、感情の創作といわなければならない。被告らの、著作物ではないとする主張は、採用できない。

【より詳しい情報→】http://www.kls-law.org/