ゲーム音楽の編曲(オーケストラヴァージョン)
▶令和4年9月8日東京地方裁判所[令和3(ワ)3201] ▶令和5年4月20日知的財産高等裁判所[令和4(ネ)10115]
本件編曲行為による原告の原告楽曲に係る著作権(翻案権)侵害の成否について
前記のとおり、本件楽曲[注:ロールプレイングゲーム「幻想水滸伝」「幻想水滸伝Ⅱ」に使用されている楽曲をアレンジしたもの]は、被告Aにより、原告楽曲を素材としてその譜面が作成されたものであるから、原告楽曲に依拠して作成されたものと認められる。
また、本件楽曲が原告楽曲の表現上の本質的特徴と同一性を有するものであることは、当事者間に争いがない。
さらに、ゲーム内で利用されている原告楽曲と基本的にオーケストラによる演奏を想定した本件楽曲との性質ないし内容等の相違に照らすと、被告Aは、本件楽曲の譜面の制作に際し、原告楽曲を、その表現上の本質的特徴との同一性を維持しつつもオーケストラ演奏に適した旋律に変更し、オーケストラを構成する楽器の選択やアレンジ手法、演奏人数等に創意工夫を凝らすことで、原告楽曲に新たな創作性を付加したものとするのが相当である。
以上によれば、本件楽曲は原告楽曲を翻案したものであり、本件編曲行為は、原告の原告楽曲に係る著作権(翻案権)を侵害するものと認められる。
[控訴審同旨]