ネットの書込みの著作物性は厳格に解釈されるべきか
▶平成14年10月29日東京高等裁判所[平成14(ネ)2887]
膨大な表現行為が行われているため全容の把握が困難であること,匿名で行われた場合に表現者の承諾を得るのが困難であること,対価が得られないような程度の内容の表現行為が多く見られることは,インターネット上の書込みに限られず,他の分野での表現についてもいえることであるから,これらの事情は,インターネット上の書込みの著作物性の判断基準を他の表現についてよりも厳格に解釈することの根拠とすることはできないというべきである。控訴人らは,インターネット上の書込みについて,承諾を必要とする範囲を広く解すると,インターネット上の情報の利用を制約することになり,ひいてはインターネットの発展を阻害することになる,と主張する。しかしながら,インターネット上の書込みについて,その利用の承諾を得ることが全く不可能というわけではない。また,承諾を得られない場合であっても,創作性の程度が低いものについては,多くの場合,表現に多少手を加えることにより,容易に複製権侵害を回避することができる場合が多いと考えられるから,そのようなものについても著作物性を認め,少なくともそのままいわゆるデッドコピーをすることは許されない,と解したとしても,そのことが,インターネットの利用,発展の妨げとなると解することはできないというべきである。