『映像コンテンツの取扱いには特に注意を!5/5』

 

§ 「映画製作者」とは

 

最後に、本記事でたびたび登場してきた「映画製作者」の意義について。

「映画製作者」とは、著作権法上、「映画の著作物の製作に発意と責任を有する者」とされています(2条1項10号)。映像コンテンツの製作(制作)に関し具体的にどのような者がこの「発意と責任」を有する者に該当するかについては、実務上、「映画の事業展開をする際に締結されるさまざまな契約により生じる法律上の権利義務が帰属する主体」、平たく言うと、その契約書に当事者「甲」又は「乙」として署名する者と考えてほぼ差し支えありません。このことからも、「映画製作者」を特定しやすくするという意味において(これは、結局のところ、実質的にその映像コンテンツの「著作権者」を特定することでもある)、その署名捺印(記名押印)がある契約書は作成しておくべきなのです。そうすれば、利害関係者・プレーヤーの予測可能性は一段と高まり、当該映像コンテンツに関わるビジネスがより円滑に進む効能も期待できます。また、万一、問題が生じて裁判になった場合に、そのような契約書が残っていれば、裁判官が「映画製作者」(著作権者)が誰であるかを認定しやすくなります。

 

映像コンテンツの製作(制作)には、製作現場の監督及びスタッフや出演者のみならず、投資家やスポンサー、利用著作物の権利者など実にさまざまな関係者・プレーヤーがさまざまな形で関与しています。そんな中で、迅速かつ的確に権利処理をクリアしていくことは決して簡単な作業ではありません。しかし、面倒だからと言って、この作業をおろそかにすると、多額の資金と労力をつぎ込んだビジネスが途中で頓挫することにもなりかねません。

特にプロデューサーの方には、「コンテンツビジネスは権利処理ビジネスだ」ということを常に念頭に入れておいていただいて、面倒な権利処理をクリアしていくことが本来的な仕事なのだ、ということを肝に銘じていただければ幸いです。

 

以上

 

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