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削除要請において特に注意すべき点
削除要請をする際に注意すべき点はいくつかあるのですが、特に注意していただきたいのが、「相手方から損害賠償請求などの対抗措置を受けるをリスクがある」という点です。すなわち、事前の確認や調査、検討が不十分だったり、やり方が少々強引だったりして、相手方から、名誉毀損や営業妨害、権利濫用などの理由で、削除要請をした者が逆に訴えられるケースがあるのです。この点、特に米国においては、削除要請が言論の自由の侵害であるとして、投稿動画を削除された者が削除要請を行った者に対し損害賠償請求をする事例がしばしば見られます。そのため、削除要請をする際には、相手方から法的措置を講じられるリスクがあることを考慮して、慎重に権利行使(削除要請)の是非を判断する必要があります。
なお、わが国においても、最近(令和4年10月14日大阪高等裁判所[令和4(ネ)265等])、YouTubeにおける著作権侵害通知(動画削除要請)が不法行為に当たると認定した注目の事例がありました。以下、参考までに判決の一部を掲載します(詳しい内容は本ブロブ内の「最新判例/注目判例」に掲載します):
『YouTubeは、インターネットを介して動画の投稿や投稿動画の視聴などを可能とするサービスであり、投稿者は、動画の投稿を通して簡易な手段で広く世界中に自己の表現活動や情報を伝えることが可能となるから、作成した動画をYouTubeに投稿する自由は、投稿者の表現の自由という人格的利益に関わるものということができる。したがって、投稿者は、著作権侵害その他の正当な理由なく当該投稿を削除されないことについて、法律上保護される利益を有すると解するのが相当である。
また、収益化されたチャンネルにおいては、YouTubeへの動画投稿によって、投稿者は収益を得ることができるから、正当な理由なく投稿動画を削除する行為は、投稿者の営業活動を妨害する行為ということになる。したがって、この側面からも、投稿者は、正当な理由なく投稿動画を削除されないことについて、法的上保護される利益を有すると解することができる。
(略)
ところで、この制度の利用について、「YouTubeヘルプ」においては、著作権侵害通知の要件として、著作権を侵害すると考える投稿の説明に加え、通知者自身が著作権者等であること、投稿者によるコンテンツの使用が法律で許可されていないことを確信していること、通知が正確であることを確認した上でこれを行うことを求め、著作権侵害通知制度を不正使用すると、アカウントの停止や法的問題に発生する可能性があるとの注意もしているが、これは、上記のとおり、YouTubeが原則として著作権侵害の実体的判断をなさないため、著作権侵害通知が潜在的には濫用的に用いられる可能性があることから、著作権侵害通知をする者に予め注意義務を課して濫用的な著作権侵害通知をなさないよう対策を講じているものと解される。
したがって、著作権侵害通知をする者が、上記のような注意義務を尽くさずに漫然と著作権侵害通知をし、当該著作権侵害通知が法的根拠に基づかないものであることから、結果的にYouTubeをして著作権侵害に当たらない動画を削除させて投稿者の前記利益を侵害した場合、その態様如何によっては、当該著作権侵害通知をした行為は、投稿者の法律上保護される利益を違法に侵害したものとして、不法行為を構成するというべきである。
(略)
以上によれば、控訴人Bは、本件侵害通知をYouTubeに提出するに当たって、単に自らが著作権者であることや、著作権侵害通知の内容が正確であることについて何ら検討することなく漫然と法的根拠に基づかない本件侵害通知を提出したという点で必要な注意義務を怠った過失があるといえるばかりか、前記のとおり著作権侵害通知制度を濫用したものということさえできるのであって、これにより本件侵害通知の対象動画の投稿者である被控訴人の法律上保護される利益を侵害したものであるから、控訴人Bが本件侵害通知を提出した行為は、被控訴人の法律上保護される利益を違法に侵害したものとして不法行為を構成するというべきである。』
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