5年位前の話  

飼ってたネコが死んだ。  
超がつくほど溺愛してた。  
自分よりネコの方が大切なくらい可愛がってた。  
親はたまにネコを叱るけど、俺は叱ることも、もちろん叩いたことなんてなかった。  

でも、一度だけ大きな声を出してしまったことがある。  
それはドラマを見ている時で、ちょうど良い感じの盛り上がるところ  
そこで、ネコがしつこく鳴いて外に出たがった。  
だから俺はつい「うるさい!!!」って言ってさっさと外に出した。  
その一度だけ。  

翌日、学校から帰ってきたらネコが死んでた。  
死ぬ前に言った言葉が「うるさい」だなんて泣きたくなった。  
あの時、死ぬ姿をオレに見せたくなかったから外に出たがったのだろうか。  
ネコに言った最初で最後の不満の言葉。  
しばらくは立ち直れなかった。  

でもある日、夢にそのネコが出てきて、俺の足に体をすり寄せてきた。  
まるで、怒ってないよと言ってくれてるように。  
夢から覚めて思った。  
「あぁ、この夢は俺の願望なんだろう」と  
俺は、それでも涙が止まらなかった。