高校の同級生にAという友人がいて、ある時Aは生徒会長に立候補した。
Aは真面目なやつなので、当選したら良き生徒会長になるだろうと俺も思っていた。
しかし、その年の候補は他に3人いていずれもいわゆる学校の人気者だった。
Aは地味だ。このままだとちょっと苦しいだろう。
対抗策としてAは演説の時の原稿を文芸部のTに依頼した。
文芸部はTとその妹の二人姉妹だけであとは全員幽霊部員という、廃部寸前の部だった。
Tは無口でおとなしい少女だったが(長門ほどじゃないが)快く引き受けてくれたらしい。
AとTは放課後も遅くまで残ってスピーチの原稿を作ってた。
完全した原稿は素晴らしい出来だった。先に読ませて貰った俺もちょっと感動するくらい。
これをステージの上で熱意を込めて読み上げれば、どんな現代っ子も心を揺さぶられるだろう!と思った。


ところが途中で邪魔な横槍が入った。現生徒会と教師どもだ。


奴らは原稿を読んで眉をひそめ、ありとあらゆる箇所に赤ペンで修正を指示して来やがった。
AとTの作った文章は、Aの主張や熱意をユーモアを交えつつ段階を経て生徒に伝え
今のシステムの問題点などをおもしろおかしく訴えていく、
読み手と聞き手双方のテンションを上げげる素晴らしい内容だった。
それを連中は「むやみに扇動的、且つ不謹慎で本来の目的から外れている」と断じた。
当日Aはほぼ全部修正した糞つまらん原稿を持ってステージに上がり
しかしその原稿は開かず、あらかじめ頭に叩きこんでいた本来の原稿を読み上げてみせた。
Aは見事当選。七割くらいの票がAに集まった。ぶっちぎりだ。
それ以来、教師連中から文芸部をはじめ弱小部への風当たりが強くなったが
Aはきっちりそいつらを守りきった。将棋部の俺も大変助かった。


その後、Aが文芸部室に相談にいく姿を良く見かけた。
あの2人がどうなったのかは分からない。
知ってるのは同じ大学に行ったということだけだ。きっと仲良くやってるだろう。