ジョンとリチャード。2人の兄弟とその母は、ジョンがかわいがっている老猫と暮らしていた。
ある日ジョンは、仕事で5日間外国へ行くことに。
「リチャード、猫と母さんの世話を頼むよ」
「わかった。安心して行って来い」
でも猫が心配なジョンは、外国から毎日電話でリチャードに猫の様子をチェックした。
「リチャード。猫の様子はどうだい?」
「元気だよ」
次の日も
「リチャード。猫の様子はどうだい?」
「元気だよ」
毎日そんな感じで、5日目もジョンは電話でたずねた。
「リチャード。猫の様子はどうだい?」
「病気で死んだよ」
「あぁ、なんてこった!……リ、リチャード!!!今まで元気だと言ってきたのに、そんなことをいきなり聞いたら僕がショックを受けるのはわかるだろ!悪い知らせは徐々に聞かせるもんだぞ。1日目に『元気だ、でも屋根に上ってる』、2日目に『屋根から落ちた』、3日目に『獣医のところにいる』、4日目に『様態が悪化した』、これで5日目に『死んだ』と聞く方がどれだけ救われるか!」
「ごめん」
「…もういいよ。それより母さんは元気か?」
「元気だ。でも屋根に上ってる」