俺が銀行で預金してた時の事なんだけど
整理券取って、あと少し~って所で突如悲鳴が。
武装した銀行強盗が入ってきた。
2人組で、ひとりは金属バットを持っていて、1人は銃らしきものを持っていた。
俺は怯えちゃって、動くに動けなかったんだけど
そんな時、俺の目の前に入るトレンチコート着て、グラサンの人がゆらりと立ち上がった。
いや、立つ前からさ、トレンチコートの下から緑のタイツは見えてたんで
もしかしたら、とは思ってたんだけどね。
銃を突きつけ強盗は「動くな!」っていうんだけど

「動くなって言われたからハイ動きません、というわけには、いかないよね」と
その人は苦笑しつつ、トレンチコートを脱いで・・・
気付くと銃を持っている奴は頬にエルボーを受けたらしく、壁際にふっとばされ
金属バットの方は、あまりの衝撃のあまりに腰が抜けたようだった。
「み、みさ、みさ・・・」と呟きながら、ハイハイで逃げようとする男に対し
緑タイツのダンディは華麗にかけより、セントーン。男は気絶してしまった。
上半身裸で、白く美しい肌をほんのりと朱に染めながら、彼は額の汗を指でぬぐっていた。
俺は驚きつつも

「も、もしかしてプロレス界の盟主、三沢光晴さんであられますか?」
と変な敬語を使っちゃったんだけど、彼は静かに

「まあ三沢か三沢じゃないかと言われたら、違いますとは言えないよね。
 でも、敢えて三沢ですって言いたくはないっていうかね、そこは譲れない部分ではあるよね(微笑)」と
照れ笑いを浮かべながら店を出て行った。


一生ついていこうと思ったよ。







三沢さん、さようなら…