おしゃれで高級な映画館の案内係が巡回していると、

1人の男が3席分を占めて大の字に寝転がっているのを見つけた。
「すみませんが、席は1つだけでお願いします。」
男はただうなり声を出したが、少しも動こうとはしなかった。
案内係の男はいらいらして言った。「動いてくれないのだったら支配人を呼んでこなくてはなりません。」
またしても男はただうなり声を出しただけだった。これに激怒した案内係はきびすを返し、支配人を呼びに行った。
少しして、案内係と支配人が戻ってきて、男の上に覆いかぶさるように立って言った。
「よし分かった、あんた。あんたの名前はなんて言うんだ?」
「サム。」と男がうめき声で答える。
「サム、あんたはどこから来たんだ?」
苦痛の声でサムが答える。

「2階席」