私は井の中の蛙。

井戸のなかから欲しい欲しいと切望しながらもけっして外にでようとしない。

井戸のなかは暗くて寂しいけれど、この空間を知り尽くしているしこれ以上悪くなることはたぶん、ないから。

そうこうしている内に外の景色はどんどん変わる。

歌を歌いに来てくれていた小鳥も、綺麗な音を奏でていた鈴虫も、

私みたいな蛙でも可愛いと言って外に連れ出そうとしてくれていた囁きも、みんなみんな私には本当の意味では届いていなかった。


私は時折井戸の外に見える、はかなげで寂しそうなM氏を横目で見ながらあの人のもとへといきたいと願ってもいた。

でも、私の足に張り付いた地面はそう簡単には剥がれなかった。


そのうち、周りであんなに賑やかだった声たちはいつのまにかパートナーや新しい世界を見つけてぽつり、ぽつりといなくなっていった。


心のどこかでその足音に恐怖を感じていたけれど見ないようにしていた。

あるとき、M氏の姿も見えなくなった。

彼や、彼らは自分達の世界を見つけ当然のごとく去っていった。

ぽつり、取り残された私。

周りは痛いくらいの静寂でなんの物音もしない。

力の限りに叫んでみても、泣きわめいてみても誰もいない。


私は私自身のせいで大事な大事な春、夏、の命の季節を見ないようにしてしまった。


私だってキラキラ輝く時期があったはず。

ほんの少しの勇気で井戸の外に足を一歩踏み出すだけで今が変わっていたかもしれないのに。

もう、M氏はての届かない人。

もう、友人も世界が変わってしまった。

私はいつだって、自分を独りに追いやってしまう。


それも、自分から。

辛い辛いといいながら自分から。

もう、やめたい。
そんなのやめたいけどそんなゴミみたいな私は独りではどうにもできない。

なにか、そういうのの救いの場を探すべきなのだろうけどなかなかそんなのないよなぁ。

生きるのがとても苦しい。