私はどんなに時が過ぎたとしてもあの街を忘れられない。

時間があればついついあの街のあの湖のほとりに行ってしまう。

あの湖の湖畔で、楽しく散歩したり、笑ったり、ランニングしたり、ひとりぼっちで夜の水面の光を見たり、ぼうっとしながら涙をふいたり、いろんな、本当にいろんな思い出がある。

自分がまだほんの少しだけわかくて恋をして、周りのみんなを仲間だと思ってたのしく過ごしたあの街。


ふと気がついたら仲間だと想っていたみんなも、めいめいの道を選び旅立った。

まるであのときは今に至る通過点に過ぎなかったというふうに。

私も年を取った。

街並みも、当時騒いだあの居酒屋も変わらずにあるのに人はどんどん変化していく。

それでも私はあの街を忘れなれなくて独り湖のほとりにたたずむ。

M氏の思い出をたどりながら。