ログライフの楽しみのひとつ
ガーデニング
ツルニチニチソウ
ゼラニウム
ゴールドクレスト
アイビー
パンジー
ポトス
シェフレラ
世田谷区上祖師谷
北に甲州街道。京王線千歳烏山駅。
南に世田谷通り。小田急線成城学園前駅。
東に環状八号線。
西に多摩川。
東西南北をこれらに囲まれた中心に位置している。
ここ上祖師谷から、僕の東京での生活が始まった。
庭師
親の仕送りと奨学金では、到底足りないのでアルバイトは必然。
アパートのすぐ隣にあった『山越造園』というところでお世話になっ
た。
親方は二代目。
先代からのお客様は、今でいう『セレブ』が多かった。
官庁トップの官舎も顧客になっていた。
成城、田園調布、目黒、広尾、代官山・・・
日当は8000円~10000円。
当時としては結構な金額だ。
朝6時から夕4時まで。
昼休みの他に、10時と15時のお茶休みがある。
お客様によっては、昼に寿司やうな重をとってくれたり・・・
なかには、『ご祝儀』を下さる方もあったり・・・
その代わり、「アルバイトだから」という隔てはない。
ニッカボッカ、地下足袋、ヘルメット。
ベテランの職人さんたちと同じ格好で同じ仕事をする。
木々の枝の剪定やツゲなどの垣根の刈り込みなどのメンテナンス
作業から、大きな樹木や庭石を設置する『造園工事』の重労働まで。
十数メートルの高さのイチョウの木のてっぺんに登らされて枝切を
させられたこともあった。
あるとき、親方が、お客様が「丸く刈って!」と要望したものを
「角っぽく刈った」ことがあった。
親方はお客様を「庭のバランスから丸い感じは合わない!」と
説き伏せた。
僕は帰宅すると、親方に手紙を書いた。
『プロ』というのは、お客様に自分のスタイルを押付けるのではなく
お客様のリクエストにきちんと応えてこそ『プロ』ではないでしょうか!
と・・・
翌朝4時ころ、突然!「ドカン!!バリバリ!!」
「な、なに事か!?車でも突っ込んだか!?」
「やい!こらー!てめー!ぶっ殺すぞー!おらー!」
親方の奇襲攻撃だった。
僕の『ご注進』に激怒しての『討ち入り』だった。
「な、なにを・・・するんですか!」
「おい!こら!出て来い!これで頭カチ割ってやるぞ!!」
ツルハシでドアをブチ破って、さらに雄叫びを上げていた。
18歳にして、生まれて初めて『身の危険』というものを感じた。
「こ・ろ・さ・れ・る!
親方の興奮は絶頂に達した。
「ダンプで轢き殺すぞー!!」
まるで、深作欣治監督/菅原文太のヤクザ映画じゃないか!
腰が抜けそうで、呆然としていた・・・
周囲から人が集まってきた。
が、しかし、ツルハシを持った親方を見て、周囲の人々も呆然として
いた。
「誰か止めてれ~!」
10人以上も集まっているのに、親方の雄叫びしか聞こえない。
皆、「シーン・・・」として、つっ立っているだけ・・・
「あ~これは・・・本当に殺されるかもしれない・・・」
覚悟した。
そのとき!!
「やめれ!!騒がしい!!なにやってんだよ!!」
「お、おかみさん!!」
『おかみさん』すなわち『親方の母上』である。
「馬鹿やってんじゃないよ!!まったく!!」
親方を引っ叩いた!
「二人とも家に入んな!!早く!!」
イメージは、まさにこの人!!ドーラ!!
『山越造園』自宅の仏間で、おかみさんを挟んで
親方と僕は正座して、至近距離で向かい合った。
「こんなに近いと・・・ぶん殴られる・・・」
また、覚悟した・・・
「お前は大人気ない!」
と、親方に、またもゲンコツ!!
「すごっ!」
「あんたも無鉄砲でわかってない!」
と、僕の頭にもゲンコツ!!
「痛いっ!」
「あんたの言うことはわかるよ!」
「でもね!庭には顔があってね、表情も四季折々で違うんだよ。」
「四角くってもね、芽や枝が伸びてくると輪郭が変わってくるんだよ。」
「お前さんの頭の毛もそうだろ!」
「わかったように、理屈でものを言うんじゃないよ!」
「10年くらい庭師やってから考えな!」
そう、たしかに、ある一点だけのことを取り上げて、庭全体のバランスを考えてはいなかった。
親方は、あの庭を何十年も面倒をみているわけで・・・
お客様の気が変わったというだけで、「はい、わかりました!」
というわけにはいかないんだな・・・と思った。
「お前も本当に大人気ない!親方になって何年だよ!」
「いちいち突っ掛かってさ!えー!」
「こんなことくらいで、馬鹿なことしてんじゃないよ!」
親方も、幾つになっても、おかみさんの前では息子だ。
「いいかい!もう、これでお仕舞いだよ!」
「さー!固めるよ!わかったかい!」
「お神酒もってきな!」
『固めの杯』か!?やっぱ、任侠道だ!
たいしたものだ!『固めたら』・・・あとはサッパリだ!
親方はぶち壊したドアに化粧合板を張ってくれた。
ドア破れて、意地和らぐ!
上祖師谷には1年間しかいなかった。
『山越造園』には1年間お世話になった。
『職人さん』の世界を少しだけ覗き見しただけだったが・・・
学業の向こう側にあるものが勉強できた。
そういえば、こんなエピソードもあった・・・
12月に、桜ヶ丘の豪邸に伺ったときのことだ。
「梅の木を剪定しとけ!」
「へい! 親方!」
「幹から縦に伸びた細枝を全部切っとけよ!」
「へい!親方!」
「横の枝は切るなよ!」
「へい!親方!」
黙々と・・・ギコギコ・・・パッチン・・・ギコギコ・・・
「親方! 終わりました!」
「おう! ご苦労さん!」
「ありがとうございます!」
「・・・!?・・・!?・・・!!!」
「親方!?・・・親方!?・・・!」
「親方!春の梅はどうかね?」
「・・・!・・・!・・・!」
「去年もあまり咲かなかったからね~!」
「今回は楽しみだね~!」
「いや!今回は・・・木を・・・休めました!!」
「えっ!じゃあ~今回も駄目か~!!」
「え、あの、もう木がねっ!古木なもんで・・・」
「あれですよ・・・次回はその分凄いっすよ!」
「親方が言うんじゃ~間違いないね~」
「ど・・・どうも・・・」
今年は、このお宅は最後だったので『ご祝儀』を頂いた。
掃除をして道具をトラックに積み込み帰路についた。
「バカヤロウ!バシッ!!」
「おめーなあ! 枝先の花芽をぜんぶ切っちまったろ!」
「あの梅なあ!ひとっつも咲かねーぞ!バカヤロウ!」
我武者羅に細い枝を全部切ってしまったのだった・・・
「お客さんには、俺からうまく言っといたからな!」
「誰でも失敗はあるからな!仕方ない!」
「けどな!生き物だからな!花咲かせたいからな!」
「人間はごまかせても、梅は泣いているからな!」
「いてー!とか・・・やめてー!とか言えねーからな!」
「俺らはな!ちゃーんと!木と会話してんだぞ!!」
「鼻歌!歌ってんじゃねーぞ!歌ー聞かせてんだぞ!」
「そーゆうーところに気を配れよ!わかったな!」
ナイス!フォロー!!涙
あのときのツルハシ親方の微塵もない!!
そう!プライドが高かっただけだったのだ・・・
ガーデナー
パンジー
ノースポール
海のサザエも庭の
アクセントだけでは
ない!
ちゃんとカルシウム
を供給している!
これを読むと
『造園』 と『園芸』 が楽しくなるよ!
草木が主役の日本的園芸、造園。
花が主役のイングリッシュガーデン。
ガーデニングというものが普及しだしたのは
ホームセンターが全国展開しはじめた2000
年前後くらいからだろう。
同時にDIY(Do It Yourself 自分でつくる)
というのも耳にするようになった。
草、木、花、庭への愛着は先の『山越造園』に起因する。
今は
庭師の拘りをもつガーデナー!ってとこかな!
でも、またこんなこと言うと・・・
山越の親方に・・・
ツルハシでぶっ殺されるかも!!!











