老舗ゲーム会社が放った渾身の
対戦シューティングゲームタイトル


この記事を見つけた人はきっとFPS(ファーストパーソンシューター)が好きな方だと思います。

それに発売から2年経過した「オーバーウォッチ」の名前を検索しているということは、日頃からまとめサイトや、新しいヒーロー情報をチェックしているのではないでしょうか?

たまたまたどり着いた人に説明すると、オーバーウォッチ(Overwatch)は、アメリカの老舗ゲーム会社ブリザード・エンタテイメントが運営するオンライン対戦シューティングゲームです。



2016年にリリースされたこのゲームは現在プレイヤー数が3500万人を超える大ヒット!e-sportsタイトルとしてワールドカップも開催されています。



直近ではオーバーウォッチリーグというプロスポーツさながらのリーグコンテンツが開始しており、TOYOTA(トヨタ自動車)がパートナー契約を結ぶなど、競技コンテンツとしての勢いがどんどん増しています。

大ヒットを記録し、勢いが衰えないこのゲームですが、一体何がヒットの要因なのか、気になりませんか?

この記事では、大ヒットゲーム「オーバーウォッチ」に組み込まれていったゲームの「要素」「文化」を解説していきたいと思います。

どこがウケたのかというのは、勿論推測の域は出ませんが、洋ゲーマニアから見るとこのゲームタイトルには、今まで欧米や全世界でヒットしてきた様々な対戦ゲームタイトルの要素が絶妙にミックスされています。

オーバーウォッチをよく知っている人も、たまたまこの記事を見つけた人も、ちょっとでも興味が湧いたらぜひ見てください。

どういうところがスゴいのか?

ちゃんと順を追って解説していきたいと思います。






定番クラスベース型対戦FPSのDNA






まず、オーバーウォッチは、昔からFPSをプレイしてる人にはTeamfortress2(以下TF2)というゲームと比較されます。

実際、このゲームは明らかにTF2を参考にしたゲームです。
(開発チームもTF2が大好きで、チーム内のキャラで役割分担があったり目標拠点の争奪戦という部分に類似性がある事は認めています。)

  • ピクサーのCGアニメのようなキャラデザイン

  • 攻撃、防衛、支援等の役割分担(クラス分け)がされたキャラクター

  • 複数人2チームで分かれてのお互いの拠点争奪戦


大枠としては上記が類似しています。

動画を見てもらうと、知らなかった人でも何となく似てるなーという事に気が付くのではないでしょうか?

気が付いた人には今度は、じゃあただのパクリゲーなの?と思う人もいるでしょう。

いえいえ、ちゃんと差別化されているところがあります。

それは、同時対戦するプレイヤー人数のスケールの違いです。

  • キャラクター数
    オーバーウォッチ:26人
    TF2:9人

  • マップの想定対戦人数
    オーバーウォッチ:6対6
    TF2:約12対12


(※TF2もオーバーウォッチの発売後、対抗して6対6の競技モードを追加しました)

さらに、1回の試合にかかる時間も、TF2より短く気軽にプレイ出来るようになっています。

  • 1マップの想定プレイ時間
    オーバーウォッチ:10数分
    TF2:30分~1時間


このように、TF2はある程度大人数で長時間プレイすることが想定されていて、オーバーウォッチは沢山のキャラ選択肢を用いて少人数、短時間でプレイ出来るようなシステムになっています。

オーバーウォッチは、どうしても対戦人数やマップサイズから間延びしがちだったTF2から学んで、上手くサクサクプレイ出来るゲームスケールに落とし込まれています。

流石老舗ゲーム会社ブリザード・エンタテイメントですね。

※余談ですが、TF2は現在Steamから無料でダウンロード出来るようになっているので、パソコンを持っている人はぜひSteamからダウンロードしてプレイしてみてください。
発売から10年たっているのにアップデートがあったりしておじさんビックリです。ちなみに私は発売初日に買いました。
http://store.steampowered.com/app/440/Team_Fortress_2/?l=japanese




MOBAのスキルシステム




その他にも、オーバーウォッチは明らかに最初からe-sportsタイトルとなる事を目指しており、1チームのスケールを1桁まで下げるのは、最近流行しているe-sportsゲームのジャンル、マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(英:Multiplayer online battle arena、略称 MOBA)の影響と考えていいでしょう。

(MOBAはほとんど5対5のチームスケールが主流です)

また、このMOBAジャンルから流用されているシステムが「アルティメットスキル」の存在です。

これはイメージとしては、格ゲー等で言う「超必殺」ですね。

TF2は大変面白いゲームだったのですが、大人数でプレイするため、お互いのチームが拮抗して拠点の争奪がし切れず、引き分けになる事が多々ありました。

また、TF2はいわゆる「超必殺」にあたるスキルを使えるのは支援系の1キャラに限られており、どうしてもダメ押しに欠ける点がありました。

「アルティメットスキル」は、こうした均衡状態を打開するためにMOBAから流用されているものと考えます。
各キャラクターのアルティメットスキルは弱点もあり、再使用までに長い空き時間が必要ですが、それゆえ強力で、やり方次第で敵チームをほぼ全滅まで持ち込める可能性を秘めています。

このスキルシステムがFPS(ファーストパーソンシューター)に輸入されたことにより、どうしようもない均衡状態で時間が潰れ、引き分けになる事がかなり減りました。

MOBAはブリザード・エンタテイメントが自分たちのゲームをユーザーにほぼ自由に改造させた事が発端になって生まれたゲームジャンルであり、この点はよく研究されていると思います。




最後に


以上がオーバーウォッチに流れる様々なゲームの要素、DNAの解説です。(スキンやルートボックスの話は長くなるので割愛)

いかがでしたでしょうか?「へ~」「なるほどー!」と思う事はありましたか?

前述の「ゲームをユーザーにほぼ自由に改造させた」という話ですが、面白い事に実はTF2も、1作目はユーザーがゲームを改造した事によって生まれた、キャラクターの役割分担を重視するマルチプレイFPSの新しい形でした。

現在世界一人口が多いe-sportsタイトルの「リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)」も、元々ブリザード・エンタテイメントのゲームを改造した作者が独立して始めたものです。



PCゲームの世界(特に欧米文化圏)には、一部の開発が公式に「ユーザーにゲームの改造を許可する、開発ツールを公開する」文化があり、これによってユーザーが改造したゲームが単独のパッケージになって製品化したりと、開発とユーザーの不思議な友好関係があったりします。
(それによるトラブルもあったりしますが)

更に、そのゲームを改造した作者を開発に招き入れたり、コミュニティが主催する大会を開発が積極的に支援する等、開発とユーザーが一体となってゲームを盛り上げていきました。

そうした、垣根を越えて面白いものを作れる環境こそが、今日世界でe-sportsが大流行する下地になっているのではないかと思います。

オーバーウォッチの巧みなゲーム要素ミックスは、こうして開発やユーザーが作り出してきた文化を、開発の手で上手く昇華出来たものと言えます。

そしてその調和がゲームに大ヒットをもたらし、e-sportsタイトルとしての躍進に繋がったのでしょう。

日本でもそんな「開発とユーザーの化学反応」が起きないかなあと、妄想に浸る筆者であります。