帰り道、お金の使い道を考えることにした。

投資、起業、株……。どれもこれもピンとこない。

今まで大きなリスクは避けるようにして生活してきた。

今更そんな大きな挑戦ができるはずが無い。

しかし使わずにいるのも……。

悩みも不安も晴れぬまま、家についた。

「……どうすればいいんだろ。」

今にも泣きだしそうだった。

金がありすぎて困るなどぜいたくな悩みだ。

こんな悩み、相談しようにもそう言われて終わりだろう。

最も、誰にも言えないから悩んでいるのだが。

「夕飯の支度しよう。」

出した結論はできる限り普段通りの生活をすることだ。

少しでも忘れることができたら落ち着けるかもしれない。

そう信じ、夕飯の支度をした。

米を炊き、野菜を切り、肉を焼く。

彼女にしてはぜいたくな食事だ。

というより、量が多い。

普段なら食べきれないとこんなに使わない。

それが作りすぎてしまった。

意識しないようにしたはずだった。


結局、意識しないように意識していた。

使いすぎても金銭的な問題は無いのだが、罪悪感を感じる。

お金があるから問題なんだよな……。

「もういっそのこと、寄付しようかな……。」

瞬間的にそれしかないと思った。

もうお金を持っていてはいけない。

善は急げだとすぐさま調べ、すぐさま寄付団体の担当者と銀行の担当者に会い、財産をまとめて寄付することで話をつけた。

もったいない。

話をまとめている間ずっとそう思った。

せっかくの大金を……もったいない……。

だが帰り道、彼女の心は晴れ晴れとしていた。

今まで地道にためた100万円まで寄付してしまい、当座の分のお金しか残ってない。

当分ぜいたくもできない。

だが、これでいいんだ。

そう心から思えた彼女は、夜道を歩いた。

迷いなんてない。きっと大丈夫だ。

とても晴れ晴れとしていたのだ。

まるで入社前の期待に満ちた頃に戻ったようだった。

そして……。

突然後頭部に強い痛みを感じ、彼女は意識を失った。





「かーっ。こんな若い娘が殺されるとは、世も末だな。赤城、ガイシャの名は?」

「佐藤絵里果。株式会社東現に務めるOLだそうです。実直な性格で恨みを買うような人ではないと。」

「まあ、バッグもなくなっているようだし、物盗りの犯行だろうな。」

「警部! 現場近くの銀行の銀行員を連れてきました!ガイシャにあった最後の人間です!」

「ええと……田中康成といいます。まさかこんなことになるなんて……。」

「田中康成さん……ですね。この近くの銀行の銀行員ということでしたが、彼女はどういった要件で?」

「はあ、あの、宝くじで彼女は先日大金を手にしたのですがね、それを全額寄付するということでうちに……はい。」

「そしてその帰り道殺された。大金を寄付する大金持ちと思っての強盗……。そんなところか。」

「ひどい事件ですね……。金のためにこんな若い女性を……。」

「まったくだな。俺も先日宝くじを買ったが、こんなことなら当たらないでほしいと思うな。」

「そういえば今日でしたっけ?気をつけてくださいね。」









「……警部と赤城、どこいったんだろうな。」