この歳になってから、懐かしい童謡や唱歌が聴きたくなる時がある。
BSで放送の、子供たちに残したい美しい日本のうた、とか。
以前、BSの旅番組で、旅人の戦場カメラマン渡部陽一が、小さな小学校の児童達が唄う
「唱歌 ふるさと」の合唱を聴き、号泣した。
おれはそれを見て号泣したのだった。
理屈などなく、弱くなった涙腺と、琴線に触れるのだ。
子どものころ、おふくろが手仕事をする部屋があった。
その部屋はテレビは置かず、ラジオを聴きながら編み物などをしていた。
冬の夜、ストーブのやかんの湯気と、ラジオから流れる歌謡曲や童謡や唱歌。
今となっては懐かしいだけだ。
高橋まゆみ人形館より
おしまい