起床。スーパーねぼけで体温計ポロポロ落しながらの検温で36.7度。
こら、間違いなく熱上がるね。普通、早めの手当で静養を検討だろ。
それが違うのだ。
微発熱時は、場外ホームラン並に業務をこなす事がある。
出来も超良かったりする。絶好のチャンスなのである。
事務所行く。
当初はグダグダしてまうも、突然作業に掛かり、
予想通り、爆発的集中力が来て問題をめった斬りにしていく。惨殺である。
連休中、繁華街の昼間は超ラグジュアリーな静寂に包まれているはずだが、
なぜか今日は人通りが多かった。圧倒的に女子のグループが多い。
ドアをノックされる。
セールスマンでは絶対なく、二人組の女子だったので開けてみると、
なんとか第六ビルはどこだ?と聞かれる。
ぐちゃぐちゃって程ビルはあるので、ビルの固有名詞を言われても
全くわからないから、地図かなんかないのか?と聞くと、
スマホのGPS地図を差し出してくる。
そのなんとか第六ビルにおもっきし赤い星がついている。
絶句し、そこに行けばいいやん。と言う。
近くまで行ってもわからないのだ。と言われる。
近くまで行った人がわからない事を、2ブロックは離れてる、
そんなに近くではない人に聞かれても、もっとわからないのだ。
電話番号かなんかないのか?と言う。
ある。
再び絶句し、掛けてみればいいやん。と言う。
使われていないとアナウンスが流れる。と言われる。
知らんわ。
あっちにコンビニがあるから、そこで聞けば?というと、
道案内は断られたという。
じゃあ向こうに警察署があるからそこで聞けば?
でもなんとか第六ビルは警察署の方向じゃない。という。もっと知らんわ。
なんとか第六ビルはわからないと言っている人に、食い下がり、
自分の足を使って調べるのはイヤなのだ。なんつー怠け者。
とりあえず追い払い、作業に戻る。
またノック音がしたような気がして、ドア方向を見ると、
またも女子のグループが立っている。
目が合ってしまったので、しかたなくドアを開けると、
またもなんとか第六ビルの場所を聞かれる。
さっきも同じ事を聞かれたが、この辺の人でも
ビルの固有名詞では場所の特定は出来ないよ。と早めに追い払う。
たったの数分で、なんと3組目が登場。
まさかと思うが、やはりなんとか第六ビルを聞かれる。
街は静寂に包まれている分、普段は方々に存在するビル清掃の人や、
配達の酒屋さん等が全くいない上に、近隣に開いている店もないから、
一点集中的に来る。ひえー
相手が、なんとか第六ビルと言い切らないうちに、
もーそれ、全くわからないから。あっちに警察署があるからそこで聞いて。
と言ったら、なんと舌打ちしやがった。
わき上がる怒りを抑えて、舌打ち女を指差して聞く。
御堂筋のシャネルブティックって わかる?_わかる。
ルイヴィトンブティック わかる?_はい。
じゃあ、それぞれのビルがなんていう名前か わかる?_無言
あなたのしてる質問はそーゆー事よ。
人呼び止めて、舌打ちまでして、無礼極まりない。
怒りの沸点を超えて、脳内妄想南極氷河。
右フックを隙だらけの左テンプルにぶち込んだ後、
左アッパーをボディーに一発入れると、頭部が垂れてくるので、
仕上げに左フックをお見舞いする。
舌打ち女は右に吹っ飛ぶので、すぐ右にある壁に当たって総崩れ。
コンビネーション構成はストーリー性が大切だ。
いやいや、そんなに手数をつこたらあかんやろ。
戦術は短く簡潔であるほど美しい。
舌打ち女の後ろは2段の下がり段差だ。
強めの前蹴り一発で、段差に足を取られ、ぐにょぐにょなって、
頭強打の仰向け転倒。かっこわりー くすくす
とか思いながら耐えていると、
舌打ち女子以外の女子が、必死で詫びの言葉を連発し、
フェードアウトしていった。
おいらもダッシュでプリンターの元へ向かい、
A3の紙を引っこ抜いて極太油性ペンを持ち、
なんとか第六ビル、わかりません
警察署等で聞いてください
すごい手際で外壁に貼付け、
デスクに戻って、特大のため息一発。
普段はこんなミスしないのに、
極太油性ペン、白いデスクに裏うつりしちまって
ほにょーーー
もーイヤなったところ、
ちょうど隣の店のシャッターが上がる音がしたので、
さっさとシャッター降ろしてしっぽ巻いて退散。